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【調査レポート】スタートアップへの転職者101人が語った大企業に居続けることへの危機感

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

歴史のある会社だからこそ、スケールのある仕事を担当したり、みんなが知っている商品を扱うことで、社会に貢献している実感が得られるだろう。しかし、大企業の中で決められたレールで仕事を続けることや、キャリアパスが見えてしまっている状況に不安感、不満を感じている人もいるはずだ。このままでいても、どれだけのことができるのだろうか。ましてや、変化の激しいこの時代、今の仕事が10年先にも残っている保証はどこにもない。

スタートアップでのキャリアは、世界にインパクトを与えるビジネスを、裁量が大きい自由な環境でリードすることができる。大企業からスタートアップに移った先人たちは、キャリアにさまざまな危機感を感じていた。

この記事のサマリ

  • 大企業からスタートアップへの転職を決意した理由として、「大企業でイノベーションを起こすことに限界を感じていた」、「仕事の自由度・裁量が不十分だった」、「今後のキャリアに限界を感じていた」ことが大きい。

  • 一方で、「大企業への不満は特になかった」が転職を決意したという人も多い。

  • 実際にスタートアップに転職した101人に聞くと、「スタートアップに移るのは時期尚早だった」という人はいない。


82%ものスタートアップ転職者が大企業でイノベーションを起こすことに限界を感じていた。

すべてがそうではないが、大企業は長い歴史を通じて確立したビジネスを、時代に合わせてより適切にアップデートしていく。社会を大きく変革するような技術を形にしたり、非連続な成長を実現するビジネスを作ったりするためには、大企業では難しいと感じることがあったようだ。

【図1】大企業からスタートアップに転職するにあたり、大企業に感じていた不満について該当するものの割合(大いにあてはまる、あてはまるの合計)

「決められた仕事を行い、ある程度の裁量はあるものの、年功序列に近い組織体系になっており、若年層で大きな仕事や大胆な変革を起こすことは不可能な環境下だった」
(30代、大手金融→ネットサービススタートアップ)

「大手で担っていた仕事にやり甲斐を感じられなくなっていた。出世を目標にハードワークを続けることは考えられなかった。」
(40代、大手メーカー→アグリテックスタートアップ)


さらに、75%は大企業での今後のキャリアに行き詰まりを感じていた

総合職として入社し、OJTを通じて経験を積み、年功序列で昇進し、ある程度の活躍をすれば管理職になってチームを持つ。先は長いがうまくいけば役員になれるかもしれない。そうしたピラミッドを登るキャリアパスは、これからも、あたりまえであり続けるのだろうか。

「入社してから定年退職までの道筋が最初から示されており、どんなに頑張っても先がみえる生活スタイル、ポジションというのが何よりもつらかった」
(40代、大手商社→ロボティクススタートアップ)

「早く部長職になったが、それでも役員までの道のりが長く、また役職定年後(50代前半)のキャリアパスが見えない。大企業は部下が優秀なので自ら手を動かす機会が減るので、Hands-onスキルが低下する。」
(40代 大手通信→AIソリューションスタートアップ)


一方で、39% もの人は「大企業でのキャリアに特に大きな不満はなかった」という

大企業は大企業の良いところがある。研修などの成長機会は得られるし、スケールの大きな仕事ができる。安定した処遇も魅力である。大企業が向いている人もいれば、スタートアップが向いている人もいるだろう。向いているかどうかは、外を見てみないとわからない。

「留学や特別なPJTへのアサインなどを経験できた。大企業でビジネス基礎力や実績を培い、自身の経験やノウハウを豊富に獲得することができた。」
(40代、大手通信→ドローンスタートアップ)

「仕事内容や待遇に特に不満はなく、やりがいを持って仕事をしていた。他方で、内部の人間関係を熟知して上手く立ち回り、小手先で90点を取り続けているとも思った。」
(30代、国家公務員→ネットサービススタートアップ)


振り返ってみれば、99% の人は「スタートアップに転職したタイミングが早すぎたことはない」と回答している

まだまだ今の大企業の環境でもチャレンジがあるし、見えているキャリアパスもあるだろう。スタートアップでのキャリアを考えたとしても、転職のタイミングは悩ましい。

【図2】スタートアップに転職したタイミングについて

しかし、実際に大企業からスタートアップに転職した101人に聞いてみると、「転職したタイミングが時期尚早だった」という人はほぼおらず、「もっとはやく転職すればよかった」と思う人は多いのである。

「自分の業界は世界的に見てもスタートアップバブルだといえる。逆に、あと5年もすると淘汰がおこり、今のようなチャンスはないと感じた。やるなら今しかないと思った。」
(30代、研究開発→宇宙開発スタートアップ)

「新卒から大企業で働き続けたことで、”同じ会社で働き続けた方が出世が見込めるのではないか”、”大企業で作った人脈や実績を失いたくない”といった心理的なしがらみが大きくなってしまい、スタートアップへの転職を決断するタイミングが遅れてしまった。」
(30代、大手製造業→ITサービススタートアップ)


特に30代では「もっとはやくスタートアップに転職すればよかった」という

30代は、大企業で一通りの業務を経験し、組織の中核となりつつある頃であろう。仕事のやりがいも大きくなっている頃である。

【図3】スタートアップに転職したタイミングについて、もっとはやく転職すればよかったという人の割合 (年代別)

スタートアップへの転職者が多い年代でもあるが、他の年代に比較して「もっとはやく転職すればよかった」という人が多い。20代の若いうちから飛び込みたかったという声も聞かれる。

「ゆったりとした大企業とは別に、世界は動いていた。自分は世界の重要な流れに乗り遅れていたので、キャッチアップすることに未だに苦労している。もっと早い時期から世界を見渡す視野を持っているべきだったと感じている。」
(30代、大手製造業→エネルギースタートアップ)

「給料が気になるのであれば、大企業に留まったほうが良い。平均的な期待値は大企業のほうが高いと思う。ただ、世の中や自身に停滞感を感じているのであれば、一度は飛び出したほうが良い。人間は、自分が体験したことからしか学べない。」
(30代、大手IT→モビリティスタートアップ)

大企業には大企業の良いところがある。スタートアップにはスタートアップの良いところがある。これは大企業からスタートアップに移った先人たちの声であり、それが万人に共通する価値観ではない。ひとつの考え方ではあるが、大企業からスタートアップへ移るというキャリアを選択した先人たちは、転職前のキャリアに、さまざまな危機感を感じていたようだ。自分自身のキャリアを、一旦立ち止まって、考えてみてはどうだろうか。


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