東北から盛り上げる、IoT開発をトータルサポートする『青森県産業技術センター』
2018年10月に青森県産業技術センター 工業総合研究所の敷地内に「IoT開発支援棟」が完成した。同所では、IoTを活用した機器の設計や試作、そしてロボットなどの先端技術に関する研究開発や人材育成を行い、県内に限らず、県外を含めた企業のIoT技術導入や新産業創出に向けた支援活動を積極化する方針だ。同所の小野部長に、話を伺った。
IoT企業の声を受けて
青森県産業技術センターは、青森県内の農林系、水産系、食品系、工業系の試験研究機関を統合し、地方独立行政法人として2009年4月に発足した試験研究機関です。中でも、ここ青森市にある「工業総合研究所」では、情報通信技術や自動制御・計測評価技術、システム制御技術等の研究を行っていました。
かかる中、青森県内の事業者からの声を受けて、2014年に「あおもりIoT研究会」を立ち上げました。ここでは県内の製造事業者やIT事業者、大学等が参加し、IoTを活用した新たなものづくりやサービスについて検討する勉強会・研修会を実施してきました。
これまで単発の勉強会・研修会で終了することが多かった中、参加者より「IoTを活用したいスタートアップ等と製造事業者が共に仕事をできる環境があっても良いのではないか」という声が上がり、内閣府の平成28年度地方創生拠点整備交付金を活用して、研究所内に「IoT開発支援棟」を新設し、継続的な技術支援ができる体制の構築を進めてきました。
一貫かつ継続的な支援体制を構築
2018年3月に一旦IoT開発支援棟は完成するも、中身の設備については予算の関係上、設計に関係するものに限られていました。そこで今回、スタートアップファクトリー構築事業を通じ、高精細3Dプリンターや3Dスキャナ等を導入し、設計だけではなく、シミュレーション、試作加工、評価の機能を備え、アイデアから製品プロトタイプまでを一貫かつ継続して実験可能な環境を提供できるようになりました。
10月のIoT開発支援棟の開所以来、2ヶ月で県内外のスタートアップ含め既に10件程度の利用があり、こういった設備・支援のニーズの高さを改めて実感しております。
また、今回の事業を通じ交流の深まった東北の4事業者(Startup Factory Tohoku)と共に連絡会を行っており、スタートアップのニーズをフィードバックしております。
彼らとの議論を通じ、東北地方のスタートアップにおけるものづくりの活性化策やベンチャー誘致のための施策を日々考えています。この結果、スタートアップからの問い合わせに対し、まずは当研究所で実験や試作、機器の貸出といった支援を行い、さらに量産化に向けては県内の企業だけではなく東北地域のスタートアップファクトリーを紹介することが可能となりました。
東北におけるスタートアップとの取組を積極化したい
当所は、IoTに関して興味を持っている企業・スタートアップや、興味はあるがどう取り組めば良いか分からない企業・スタートアップにアドバイスを行っています。
また、当所では青森でのスマート工場やスマート農業へのIoT導入を推進しており、検討の加速化に向けてスタートアップによる新しい知見を必要としています。
こういった取組みに向け、今回の設備増強をきっかけに「あおもりIoT研究会」の活動を積極化し、今後も外部講師を招いた研修会や交流会を実施し、県内だけではなく県外のスタートアップに向けた活動を積極化させていきたいと思っています。
これまで相談を受けた企業は県内の企業が中心でしたが、今回の補助事業をきっかけに、県外の企業・スタートアップにも当所の存在をアピールし、皆さんに積極的に利用して頂きたいと思っています。
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