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ものづくりで「福岡で中国より安い」を実現する、IoTベンダーの駆け込み寺『Braveridge』

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

株式会社Braveridgeは、福岡に拠点を構え、IoTデバイスの開発から量産まで手がけるODM/OEM企業だ。IoTデバイスを企画するスタートアップの「駆け込み寺」として、年間100件以上の案件相談を受けているという吉田代表に話を伺った。

スタートアップの「アイデアを形にする」福岡のODM拠点

Braveridgeは、2006年にメーカー出身者が集まり福岡で創業しました。私自身はかつてパナソニックで設計を担当していたのですが、そこで得た経験やノウハウをベースに、ODM受託、OEM受託、自社製品開発・製造など、様々な事業を展開してきました。

我々の事業の軸はODM受託。もって来られたアイデアを、設計から試作、量産まで一貫で受託するサービスです。近年スタートアップからの相談も増えてきており、だいたい年間100件くらいの相談を受けている状況です。対応できる製品は幅広く、ロボットから無線通信デバイスまで、基本何でも対応できます。

元々無線関係の製品のODMや自社製品が多かったことと、IoTの潮流でスタートアップの製品に無線が欠かせなくなってきたこともあり、無線関係の製品やモジュールの案件が多くなってきてはいますね。

うちに相談に来るスタートアップは大きく2パターンですね。「こんなものが作りたい…」と、コンセプトだけをもってくる人か、あるいは一品モノの試作品だけもってきて、「これを量産したい…」という人か。

いずれのパターンも、コンセプトから設計に落とし込むことプロセスや、量産を見据えて設計し直すプロセスが必要になりますが、これを一貫で対応できる事業者はあまり多くないようです。

中国深センも含めて自力で工場を回ってみて、結局思った通りのモノができず、ぼろぼろになった状態でうちに相談に来る…なんてこともあります。

そんなスタートアップを見てきたので、もっと早くにうちに来てくれれば…というのが正直なところなんですね。そういった思いもあり、スタートアップファクトリー構築事業にも手を挙げさせていただきました。

周船寺の本社工場外観。営業、設計メンバーの主な拠点となっている
本社通路にあるポスター。「アイデアを形にする」コンセプトを掲げている


設計と製造の密なコミュニケーションと、
国内外サプライチェーンの組み合わせで、「福岡で中国より安い」を実現

Braveridgeの強みのひとつとして、設計と製造の近さがあります。我々は周船寺の本社と、そこから車で20分くらいの糸島の工場、この2拠点を中心に活動しています。

本社拠点で営業と設計部隊がお客さんのニーズを踏まえて設計を進めていくのですが、必ず設計者は工場にも向かい、どのように製造するかを踏まえて設計に改良を加えていきます。

このプロセスは、近くに工場がある環境にないとできません。これは日本の製造業全体の課題として、製造部分が海外にでていったことにより、設計者が製造現場に踏み込むシーンはどんどん減ってきています。

うちの設計者は基本皆そういった経験をしてきており、その設計力の高さが、製造コストに対して海外との人件費の格差以上のインパクトを与えています。

2017年に新設した 糸島工場外観
糸島工場では同時に10品種程度の製品が量産されている
設計部隊が工場内で冶具等を内製。製造を効率化する肝となる部分

必要な部品の調達や加工には、国内外のサプライヤーを活用しています。過去500件以上の案件に対応してきた中で構築されていったサプライチェーンの中で、お客さんのニーズにあわせて最適な組み合わせを提案します。

また、糸島工場に隣接した敷地に「社会システム実証センター」という試験場があり、そこでの安価かつ高度な試験環境の活用も開発のスピードを高めています。

社会システム実証センターは、東京から一週間泊まり込みで試験を依頼しに来る事業者が結構いるような施設でして、工場から徒歩でそこに立ち寄り、試験を行うことができるような環境はそうそうありません。これらをトータルで活用して、「中国よりも安い」量産体制を実現しています。

国内外から集めた部品のヤード。1日の量産分が2階の生産ラインに運ばれる
社会システム実証センター内にある電波暗室。正確な電波特性の測定が可能
熱や振動等の負荷をかけて試験を行う破壊試験装置。外部利用可能なものは国内に数か所しかないとのこと


スタートアップファクトリー構築事業で、スタートアップの対応スピードを加速

このスタートアップファクトリー構築事業では、大きく3点、①最新の3Dプリンタ導入、②StartUPオープンオフィス開設、③スタートアップの相談対応プロセスの効率化、を実施しました。

まず最新の3Dプリンタを導入したことで、設計前のプレ試作のプロセスの期間が大幅に短縮されました(2週間⇒2日)。

ものづくりに慣れている大企業からの受託であれば、図面だけで話が進んでいくのですが、慣れていないスタートアップでは、図面だけでは仕上がりがイメージしにくく、安心して設計を進められません。

最新の3Dプリンタで対応するので、仕上がりの確認だけでなく、そのまま顧客や投資家に持って行ける製品サンプルとして活用でき、スタートアップからも好評を得ています。

また、StartUPオープンオフィスという、コワーキングスペースを工場付近(社会システム実証センター内)に開設しました。スタートアップはものづくりのプロセス自体をあまり知らないことも多いので、可能な限り工場見学をしてもらうことにしています。

工場見学後の打ち合わせ等を行い、その場で設計に反映させていくような、スピーディな対応を行う環境を構築しました。それに加えて、そのものづくりのプロセスを伝える業務が今までは属人的な対応だったので、そのマニュアルを作成するなど、社内体制も強化しました。

3Dプリンタの製造サンプル。仕様の確認だけでなく、製品サンプルとしての利用に耐えうる品質がスタートアップに好評
工場そばの社会システム実証センター内に開設したStartUPオープンオフィス。工場見学に来た顧客は自由に利用可能


ものづくりのプロとして、スタートアップと一緒にアイデアを形にしていきたい

「アイデアを形にする」のがBraveridgeです。アイデアを形にする方法は色々ありますが、これまでの多種多様な経験と実績から、大体のスタートアップの相談には対応できるだけの引き出しは持っていると自負しています。

ですので、もし面白いアイデアがあるスタートアップがいれば、是非相談に来てください。そして、ものづくりの部分は思い切って弊社に任せて欲しい。

我々にはプロとしての自負と、自らもスタートアップとしてプロダクトを作ってきた同志としての想いがあります。単なる受発注の関係ではなく、一緒にアイデアを形にしてくパートナーとして、量産が実現した際の喜びを分かち合いたいと思っています。

そして、思いを共にするサプライヤーとも、どんどんネットワークを拡げていきたいと思っています。福岡、九州、日本の製造業の皆様、是非是非協業の件もお声かけください。ちなみに弊社の隣の敷地、まだ空いていますよ(笑)。

糸島工場玄関にて、スタートアップファクトリー担当チーム一同。 左から田中氏、吉田氏、竹内氏

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