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【Interview4】今、地場企業の情報を伝える仲介者が必要とされている

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

「ソフト・ハード融合」スタートアップと​共創パートナーの連携ケーススタディを取りまとめるにあたって、ソフトウェア・ハードウェア融合領域に関するスタートアップに豊富な支援実績・専門性を持つ有識者にインタビューを実施。
今回は、株式会社リバネス 執行役員 CKO 長谷川 和宏氏に話を伺った。

スタートアップは今、地方のオーナー企業の力を必要としている

―― リバネスでは、スタートアップと地域の中堅企業をつなぐ活動をされているかと思います。

私はリバネスでの活動を通じて、スタートアップの共創パートナーとしては、大企業よりも中堅企業、とりわけ売上100億円程度の地方のオーナー企業のほうが向いているのではないかと考えています。
これは、地方のオーナー企業と大企業では、意思決定のハードルの高さが大きく異なるためです。スタートアップとしては、持ち出しで実証を行い事業化に進めず止まってしまうよりは、小さな単位でもお金の流れを作り、ビジネススキーム(返品の取り扱いやアフターサポートの方法等)を検討することが重要なのです。
このような協業について、例えば、放射性物質との隔離が可能なグローブボックスを作っている株式会社ヨシダとロボット系のスタートアップであるメルティンMMIは、グローブボックスに取り付けるロボットハンドを共同で開発しています。


―― 地方のオーナー企業との連携の先では、どのようにビジネスを拡大していくのでしょうか。

顧客接点という面では大企業に利がありますが、大企業のOEM等を担う地方のオーナー企業との連携を進めることにより、自社単独では連携困難であった保守的な大企業に販路を拡大することも可能です。
先ほどのメルティンMMIの例では、ヨシダとの共同開発を進めていた結果として、東京電力と原子力発電所の廃炉事業における分析業務への適用を見据えた共同検討に至っています。

メルティンMMIとヨシダの連携事例は、以下のURLをご確認ください。
「現場の知識を武器に、具体的にイメージを描けるか」(株式会社ヨシダ、株式会社メルティンMMI) (METI/経済産業省関東経済産業局)


スタートアップ×地域の中堅企業の連携はWin-Winの関係

―― 大企業と比べた地方のオーナー企業・中堅企業の良さは具体的にどのようなところにあるでしょうか。

大企業連携最大の課題は、事業化の意思決定ができず規模拡大が止まってしまうことです。四半期決算で業績を求められる事業部としては、直近数年以内に定量的な成果が見えない場合は前に進みづらくなってしまいます。
仮に事業部がGOサインを出したとしても、法務部が契約面で連携を止めてしまうこともあります。大企業は機会損失をリスクと捉える文化が希薄で、新規事業を行う中で不確実な未来へのリスクテイクをできない構造になっている会社も多いです。
株主の大半がオーナーであるような企業の場合は、中長期目線の意思決定をすることができます。「5年後に数十億円…」という目標ではなく、「事業によりどのように社会が変わるのか?」というスタートアップと近い目線で物事を考えることができます。


―― 逆に、地方のオーナー企業・中堅企業としても、スタートアップ連携の旨味は大きいのでしょうか。

スタートアップとの新たな取り組みにより、短期的には会社の雰囲気向上や人材育成等のメリットがあります。また、地方の企業がスタートアップと連携するとメディアでも取り上げられやすいため、認知度向上による採用や企業ブランドへの好影響があります。
中長期的には、新規事業を生み出せない課題意識は中堅企業にも多く存在していて、その解決につながるパートナーにスタートアップがなってくれる可能性があります。特に、下請け体質で新規事業の始め方がわからない企業にとっては一番のパートナー候補ではないかと思います。
経済産業省などもスタートアップと連携する中堅企業への支援を重視しているため、国からも手厚いサポートを受けられる可能性もあります。


お互いの出会いには、地域の仲介者の情報開示が不可欠

―― 都市圏のスタートアップが地方の有望な企業を探すのは簡単ではないように感じます。

その通りです。インターネットやデータベースでの検索では、大企業の情報が氾濫しており、地方の企業の情報は埋もれてしまうことからスタートアップがアクセスするのは容易ではありません。
地方のオーナー企業・中堅企業の場合、やりたいことが明確であればインターネット検索である程度スタートアップを見つけることは可能です。一方で、やりたいことが明確でない場合や外部との連携経験が少ない場合は、どのようなプレイヤーと繋がりどのような活動を行えばよいかのイメージが湧きづらいように感じます。


―― こうした出会いを進めるためには、どのようなプレイヤーの協力が必要でしょうか。

まずはどんなことがしたいのか、自社で考えてみましょう。そこのイメージが沸かない場合は、馴染みのある地方の金融機関(地方銀行・信用金庫)や、地方自治体の産業振興課、経済産業局等に相談してみると良いと思います。やりたいことが具体化できれば、彼らが仲介者となり、スタートアップを引き合わせてくれる可能性は高まります。
そして、関心を持ったスタートアップが見つかった際には、実際に会ってみるのが良いでしょう。スタートアップとしても、実際に会話をすることで初めてお互いの実現したいビジョンや考え方などに共感して前に進むことができます。インターネットの情報のみでは、どうしてもそのような情報を得ることは難しいと思います。


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