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【転職者インタビュー】コンサルからサービスEC系スタートアップ役員へ|わたしがスタートアップを選んだ理由 #1

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

スタートアップキャリア総研では、大企業人材が経験を活かしてスタートアップで活躍するネクストキャリアを考えるきっかけを提供しています。

”コンサルティング会社”出身者にフォーカスを当てた本回は、現在、サービスEC系スタートアップで執行役員を務めるA氏にお話を伺いました。

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学生時代からスタートアップでの挑戦を意識して、コンサルティング企業に入社

―― 早速ですがAさんのキャリアについて教えてください。

A氏 應義塾大学を卒業後、新卒で広告系コンサルティング会社に入社しました。その時、学生の頃から尊敬していた先輩がスタートアップを立ち上げることを聞き、プロボノとして参加させていただきました。そこではiPhoneアプリの開発を行っており、資金調達の目処が立った1年後に正社員として入社、マーケティング責任者として働くようになったんです。

しかし3年ほどで事業が立ち行かず、残念ながらスタートアップは解散となってしまったため、その後一時期はフリーランスで活動後、現在のサービスEC系スタートアップに転職し、現在は執行役員を務めています。


―― スタートアップへの転職は、当初から想定されていたのでしょうか。

A氏 コンサルティング会社はプロフェッショナル集団なので、20代のうちに鍛えられたいという気持ちと同時に、3年ぐらい経験したら退社して20代のうちにスタートアップに行きたいという気持ちがありました。

また、在学していた慶應義塾大学の湘南藤沢キャンパスには、学生のうちに起業したり、スタートアップに就職する人が多かったことや、米国・シリコンバレーに半年ほど留学していた際にも多くのスタートアップ関係の人と関わる経験もあったため、スタートアップに就職することへの抵抗感はほぼありませんでした。


―― スタートアップへの転職は、就職先に不満があったからなのでしょうか。

A氏 いいえ、コンサルティング会社は優秀な先輩も多くて学びがある案件も多かったので、忙しくても不満は一切ありませんでした。不満よりも、立ち上げ期のスタートアップに参画したいという気持ちが強かったのだと思います。ほぼ何もない0の状態からジョインする経験は将来、必ず役立つと考えて、スタートアップに入るなら1桁番号で入社することを意識していました。

ジョインしたスタートアップの社長は学生時代からの知り合いで、将来起業するという話を聞いており、チャレンジングなことをするならば、その尊敬できる先輩の下で働きたいと考えていました。ただ、創業するタイミングですぐには給料を出せないので、最初はプロボノのような形で手伝うことにしました。


コンサルのプロフェッショナルキャリアを積みながら、創業期スタートアップでプロボノ活動

―― プロボノはどのようなものだったのでしょうか。活動内容を教えてください。

A氏 休日の土曜日と平日のランチ時間を活用してカフェやレストランで社長とミーティングを行い、主にリサーチ系の業務や企画のアイデア出しを担っていました。この経験は、0から立ち上げるスタートアップがどういうことをしているのか知る良い機会になったと思います。


―― プロボノを経て正社員になったとのことですが、コンサルティング会社との働くうえで感じるギャップや転職への迷いはありましたか。

A氏 プロボノで働く期間を経たことで、今後は社員として社長と一緒に働くんだ、という踏ん切りをつけることができました。それでも、新しい環境で苦労することはあり、スタートアップのメンバーは社長とデザイナー、エンジニア、そして私でしたが、プロダクトリリース前のフェーズでは私自身の過去のキャリアを活用できる場面がなく、力になれないもどかしさもあって貢献実感は少なかったです。

そして、やはり転職する際には、すごく迷いました。スタートアップ創業経験のある先輩や色々な方に相談に乗ってもらうなかで、コンサルティング会社の上司から「うまくいかなければ戻ってきてもいいじゃん」と言ってもらえたことは転職を決意する後押しになったと思います。


―― 2社目のスタートアップに転職された経緯を教えてください。

A氏 1社目のスタートアップで事業開発を進めていくなかでアプリをリリースしたりと順調な時期もあったのですが、なかなか事業は伸びていかず、キャッシュが回らなくなってしまいました。CTOであるエンジニアの退職や給料も払えないことなども続き、結果、退職することに。その後、しばらくは元のコンサルティング会社の上司から仕事をいただき、意図せずフリーランスとして働いていました。

退職後には、コンサルティング会社への復帰を誘っていただいたのですが、せっかくなら一度きりの人生ですし新しい挑戦をするほうがキャリアアップにもなると思い、復職の選択はしませんでした。ただ、フリーランスとして働くのは孤独でしたし、1社目のスタートアップでうまくいかなかった心残りがあったので、再度スタートアップで挑戦したいと思い、メガベンチャーや他のコンサルティングなども検討したうえで、従業員50名ほどのサービスEC系スタートアップへの転職を決めました。フリーランスになってから2社目のスタートアップに転職するまでの間は、精神的にもかなり疲弊していたことを今でも覚えています。


―― 2社目のスタートアップで働くにあたり、1社目のスタートアップでの経験が役に立ったことはありますか。

A氏 採用される際に、社長からはコンサルティングの経験だけだったら採用しなかった、スタートアップの立ち上げ経験を失敗も含めて買ったと言われました。1社目でメンバーが離散してしまう精神状態を経験したことで、会社で起こるあらゆる紛争やトラブルが些細に感じられる、あの経験でフィジカル面、メンタル面の両方ともが鍛えられたと自分でも思います。

―― ご自身の経験を踏まえて、大企業からスタートアップに行かれる方に求められるスキルセット、マインドセットはありますか。

A氏 スタートアップ視点で言うと、泥臭いことを何でもできる能力、絵を描くだけでなく実行する能力が必要だと思います。また、個人で裁量を持ち、自責思考でKPIを管理して主体的にこなしていく人材が欲しいので、そのような思考や行動ができない大企業の方は活躍するのが難しいかもしれません。

スタートアップでのインターンシップやプロボノの経験があるから活躍できるとは一概には言えず、サバイバルな環境を経験しているか、興味があることについて学ぶ努力をしているかといった姿勢が伴わないとスタートアップに参画する準備が整っているとは言えないと思います。


―― 最後に、大企業とスタートアップ間で人材流動が起きるためにはどのような施策が必要とお考えですか。

A氏 まずは大企業人材が、スタートアップで活躍している(あるいはしたことのある)人がいる環境に身を置くことが重要かなと思っています。施策を作るのであれば、例えば大企業とスタートアップが相互に人材を交換させる出向交換制度とか、挑戦に失敗しても戻ってこられるアルムナイ制度やカムバック制度があるとよいと思います。


スタートアップキャリアを順調に歩んでいるようにみえる方であっても、転職時にはそれでいいのか悩んだり、「戻ってきてもいいから挑戦してこい」という周りの声に後押しされる姿が垣間見えました。

今後は大企業とスタートアップが互いに連携して、出向やプロボノの制度を設けて双方で新たなキャリアに挑戦できる仕組みを広めていく必要があるかもしれません。

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