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【転職者インタビュー】総合商社から外資系エネルギー関連スタートアップへ|わたしがスタートアップを選んだ理由 #3

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

スタートアップキャリア総研では、大企業人材が経験を活かしてスタートアップで活躍するネクストキャリアを考えるきっかけを提供しています。

”インフラメーカー”出身者にフォーカスを当てた本回は、現在、外資系エネルギー関連スタートアップで働くC氏にお話を伺いました。

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当たり前のように大企業人生を歩むつもりが、ネガティブ要因でスタートアップへ転職

―― 早速ですがCさんのキャリアについて教えてください。

C氏 2013年に新卒で大手エンジニアリング企業に入社し、国内外向けの発電及びオイル&ガスに関するEPC案件のマネジメントやプロポーザルに従事しました。4年ほど勤務したころ、会社の業績悪化をきっかけに転職活動をはじめ、原子力発電の輸出プロジェクトに関わることができる大手のインフラメーカーに転職しました。ただ、入社してからそのプロジェクトがとん挫してしまい、希望する社内の配置転換も叶わずということで2年勤務したのちに転職し、2019年から外資の再生可能エネルギー関連のスタートアップで事業開発をしています。


―― スタートアップへの転職は、当初から想定されていたのでしょうか。

C氏 全く考えておらず、新卒から定年までずっと同じ会社で働くものと思っていました。新卒の就職先を選んだ理由はグローバルで仕事ができるという点でしたが、実際に海外に行ける機会もあり満足していました。

ただ、大企業で働くなかでもっと自主性を持って仕事をしたいと思ったり、スタートアップの経営者の話を聞いたりするなかで、徐々にスタートアップ志向や経営者志向が高まった気がします。


―― 他にもスタートアップに行きたいと思ったきっかけはありましたか。

C氏 例えば伝統重視で物事の進め方が非効率になっているとか、自分が頑張った成果が会社の利益に貢献しているのかどうかが見えにくいとか、個人の裁量で対応できることが少ない…そういったことに対するもどかしさ、規模は違えど2つの大手企業を経験するなかで、大手企業で働くことに対するストレスを感じるようになっていました。

そのような職場環境ではなく、時代の潮流に乗って便利なものは採用するとか、結果を出せばプロセスは任せてくれる裁量ある環境が提供されているサイズ感の会社で働きたい。大企業でも裁量の大きい会社であればそういった企業への転職でもよかったのですが、エネルギー系や資源ビジネス系だとそのような企業はほぼ無いに等しいので、スタートアップへの転職を意識するようになりました。


レガシー産業からの脱却。”大企業カルチャー”がない環境へ

―― スタートアップへの転職活動はどのように進められたのでしょうか。

C氏 人材エージェントと話はしましたが、自分のキャリアを考えてもらうということはせず、大企業ではなく小規模な企業、給料は下げずに自分の成果を実感しながら働きたいので、従業員規模が100人以下でエネルギー系で外資系がよいという希望を伝えました。希望をふまえていくつか人材エージェントから候補をいただき、該当先のなかから給与条件や会社の雰囲気が合うかどうかで判断しました。

また、大企業を辞める前に小規模な企業で働いている友人や先輩にも相談に乗ってもらいました。


―― 大企業からスタートアップへのキャリアチェンジについて、周りからの反応はありましたか。

C氏 大手インフラメーカーへの入社が決まった際には両親が非常に喜んでくれましたが、スタートアップへの入社は止められました。一部の周りの友人、地方出身なのですが、地元にいる友人からは大手企業を捨ててスタートアップに行くことはもったいないと言われたこともあります。

スタートアップに行くことで給料が下がる訳ではないし、大企業で40年間働き続けることもリスクがあるという話はしましたが、説得するということはしていません。自分の性格や志向を理解している妻はスタートアップ転職に対しても特に反対はしませんでした。


―― スタートアップでの苦労はありましたか。また、どのようなアンラーニングが必要でしたか。

C氏 もともと大企業の価値観、働き方が向いていないと思ってスタートアップに転職したので、環境に慣れるまでにさほど時間はかかりませんでした。従業員数が少なく、就職面接の際から仕事のスタイルを聞いたり、社員全員と会うことができていたため、会社のカルチャーを理解したうえで入社できたと思います。任されたプロジェクトを進める上でも、承認や根回し、同じ資料を何度も作るという非効率な業務が発生しません。上司と口頭で相談し、問題が起きた時にも直接話して解決策を練るという形で仕事を進めています。

大企業でボトムアップに解決していた時の生産性のない時間が削減され、本質的な仕事が増えた点はカルチャーショックでした。スタートアップのカルチャーが大企業と大きく異なるが故に慣れるのが大変というよりも、思ったら即行動したいという自分の感覚と合っていたので、スタートアップでの働き方をすぐに受け入れることができました。


―― スタートアップと大企業、働き方の違いは感じていますか。

C氏 想像していた通りの忙しさ、一方でスタートアップの働きやすさを実感しています。良くも悪くも自分の成果が目に見えてやりがいもあり、仕事のプロセスについてもプロジェクトの始まりから終わりまですべて任せてもらえるので、とても良い経験が積めています。

また、小規模な企業に転職したものの、エネルギー系の仕事ということもありプロジェクトの規模は大企業にいた頃と比べてもそこまで変わりませんでした。これまで1000億円規模だったのが100億円くらいになりましたが、その分自分でハンドルできる感覚があります。

スタートアップで働くことのデメリットとしてはコーポ―レート面のバックアップがないことです。困っているわけではないですが、人事部やIT部門がなかったり休みの基準がないとか、住宅ローンの金利が高いといったことはあります。ただ自分自身、福利厚生やお金以上に、心地の良い働き方、時代に合ったテーマや働き方が出来ることを重視していたのでいいかなと思っています。

能動的に動ける力があればスタートアップでも活躍できる

―― ご自身の経験を踏まえて、一般的に大企業人材がスタートアップに転職して活躍できると思いますか。

C氏 大企業で得られる経験は価値あるものですが、働き方は大きく異なりますので必ずしもスタートアップに転職したほうがいいとは言えないです。マニュアルやプロセスが決まっていなくても自分で考えてまずは行動することができたり、情報収集へのアンテナを自分で張ることができたり、上司や会社のネットワークに頼らず自分で人脈を作れる人でないと活躍は難しいと思います。


―― 最後に、大企業とスタートアップ間で人材流動が起きるためにはどのような施策が必要とお考えですか。

C氏 スタートアップとはいえ全くの無関係な業界に行くことは少ないと思うので、大企業が転職者を再度雇用する制度が広まればよいですね。おそらく転職する人はそのような制度があってもなくても転職するとは思いますが、スタートアップで旬な経験を積んだ人材が元の会社の大きな資本でやりたいことを見つけて帰ってくる可能性は大いにあると考えます。

私の周りでもスタートアップに興味があるが、新卒から東証一部企業で働き続けており、一歩踏み出す勇気がない優秀な人材が一定数います。その理由はスタートアップで失敗したときに帰る場所がないことが挙げられると思いますので、日本全体として雇用の流動性が高まることが企業の新陳代謝を促し日本経済全体の底上げにつながるのではないでしょうか。


大企業での業績悪化、プロジェクトのとん挫などの不遇、そして転職で家族が抱える不安感を跳ね除けて、自分が求める働き方を追求してスタートアップへのキャリアチェンジをされているのが印象的でした。

スタートアップの自由度の高い働き方を求めて大企業人材が自由に大企業とスタートアップを行き来することができるような施策が必要とされているのかもしれません。

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