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【インタビュー】潜在的イノベーターの挑戦と覚醒を促す“パートタイム”という選択肢

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

“大挑戦時代をつくる。”をビジョンに掲げ、数々のオープンイノベーションを支援してきたCreww社が、スタートアップへパートタイムで参画できるプロジェクトを開始する。

SHIFT(x)プロジェクトで実施する新たな取り組みについて、担当者にインタビューを行った。

水野 智之氏
Creww株式会社 取締役/Managing Director

1977年生まれ。神奈川県出身。日本の高校を卒業後、アメリカの大学へ進学。これまでに複数のIT系ベンチャー企業で営業や経営に携わった経験を活かし、2013年にCreww株式会社に入社し、2017年に同社取締役に就任。Crewwではこれまで220回以上のアクセラレータープログラムに携わり、690件以上の事業採択を生み出すオープンイノベーション事業の統括責任者を務める。また内閣府や総務省などの行政機関との連携も図っており、全国の自治体や大学での講演も多数行っている。

李 東徹氏
Creww株式会社 Startup team Director

1984年生まれ。日本の高校卒業後、アメリカの大学へ進学。大学では音楽ビジネスを専攻し、在学中にCreww株式会社代表取締役 伊地知 天と出会う。2013年、伊地知の創業したWEBサービスを提供する事業会社(アメリカ)でセールスマネージャーを務め、同年、同法人の日本法人立ち上げを機に日本へ帰国し、代表取締役を務めた経験を有す。Crewwの創業時から、スタートアップ企業と大手企業の新規事業創出を支援するオープンイノベーションプログラムの運営やスタートアップ支援に携わり、現在は、スタートアップチームのディレクターとして、日本におけるスタートアップエコシステムの構築促進のため、コミュニティの活性化に目下取り組む。

もっと挑戦しやすい環境を作るための“パートタイム型プロジェクト”という選択肢

―― 今回の事業にCrewwさんが応募された背景をお聞かせください。

水野 スタートアップの経営課題は、人、カネ、成長機会、の3つと考えています。スタートアップは資金を調達して、人を採用して、事業成長を図る。この流れの中で、最近は調達ができても人が採用できず、成長のボトルネックになるケースが増えていると思います。自身がスタートアップでもあるCrewwも、採用に課題を感じていました。

この原因はいくつかあって、もちろんスタートアップ側の組織体制が脆弱で、採用活動に十分にリソースを割けていない部分もありますが、人材がスタートアップに関わる方法の選択肢が、0か100かしかない、フルコミットしか無いことが問題なのではないかと考えました。


―― スタートアップへの参画は、確かにフルタイムでのコミットが前提のイメージがあります

水野 スタートアップ側も人材側も、今までフルタイムという考えしかなく、必要な時に必要なタイミングだけ手伝ってもらうパートタイムの選択肢がなかったと思います。

今までスタートアップに挑戦したい人にとって、辞めて起業するか、もしくは転職するしか選択肢がなく、どうしても「辞める」というリスクを伴う方法しかありませんでした。そこで本業を続けながらゼロイチに挑戦できるプラットフォームとして、スタートアップ事業を2019年に立ち上げて、2020年3月から本格的に開始しました。


―― STARTUP STUDIOではどういったことを進めてきたのでしょうか。

水野 当社が運営する『STARTUP STUDIO by Creww』は、個人が集まり、プロジェクトベースでゼロイチの立ち上げやメンバー集めができるプラットフォームです。大企業にいる方や、フリーランスなど、スキルも育った環境も全く異なるメンバーが集まり、ゼロイチを立ち上げていくプロセスは、まさにスタートアップと同じ環境だなと。どんどん人が集まってきて、現在登録者数は約7300名にもなりました。肌感としては、企業に勤めている方の参加者は近年増えてきている印象です。

スタートアップスタジオを運営する中、もっとスタートアップに関わりたいという人材側のニーズを感じており、実際にスタートアップへの転職に繋がった事例なども出てきて、いよいよスタートアップに人を送り込んでみよう…と考えていたところ、今回の事業の公募にタイミングが重なり、応募に至りました。

本気でやりたいことであれば、パートタイムでも本気で関われる

―― 今回開始するプロジェクトでは、スタートアップへどのように参画できるのでしょうか。

 まず、我々がスタートアップ側にヒアリングをして、プロジェクト化できる経営課題を抽出します。スタートアップ側もそのような仕事の仕方の経験は無いと思いますので、プロジェクト化を促す、啓蒙していくといった方が近いかもしれません。プロジェクトですので、期間と成果を定義されることで、外部の人材も参画しやすい形になります。

個人は、自分の条件に合うプロジェクトに応募し、選考プロセスを経て、マッチングしたら副業/兼業としてスタートアップに参画します。目的が達成したらプロジェクトは終了し、両者が望んだ場合はプロジェクトを継続します。スタートアップが個人の成果を評価することで、評価が蓄積され、その評価をもって別のスタートアップへの参画などのチャレンジできます。


―― マッチングにおいて、人材側に求められるものは何でしょうか。

水野 人材がスタートアップに共感できて、それに挑戦したいと思えるかどうかが最も重要だと考えています。なぜこの事業が存在するのか、その存在意義が課題に紐づいていて、課題感が自分自身との親和性を感じられるかどうか。スキルはその次だと思っています。

当社が運営するスタートアップスタジオでも、プロジェクトは全て継続するわけではありません。結局、アイデアとか内容とかではなく、やり切ることにコミットした人が最後まで走り切っている、そこが重要だと思っています。そういう意味でいうと、出来ない理由を挙げてしまう、受け身の方は向いていないかもしれませんね。


―― パートタイムで価値を出すというのは、大変ではないでしょうか。

水野 先ほどの話と一緒ですが、結局本気でやり切るかどうかです。本気でやりたいことであれば、パートタイムでも本気で関われる。細かいところはこれから検証していく必要はありますが、時間の長さでは無いと思っています。

変化の激しいスタートアップにとっていきなり人材をフルタイムで雇用するのは双方にとってリスクになると思います。お互いのことを理解しながら、両者で仕事のやり方を作っていくプロセスですので、お互いにパートタイムのメリットはあると思っています。


潜在的なイノベーターの環境を変え、マインドセットを変える

―― ゼロイチに関わった人材は、どういった変化や成長がありますでしょうか。

水野 一番の変化はマインドですね。参加者からよくでる言葉は「そんなやり方知らなかった」という声が多く、ゼロイチへの適性はスキルではなくてマインドの問題の方が大きいと感じています。大企業の中にいると、本来アウトプットに対する能力が高い方でも、挑戦するマインドセットができていないケースは多く、環境とマインドが揃えばアビリティ・スキルは活きるし伸びると思っています。

 今回のプロジェクトを通じて、ゼロイチで必要なアビリティ・スキルは何かしらの形で評価・可視化していきたいと思います。例えば過去に6つの「アビリティセット」として、①ビジネスセンス、②行動力、③巻き込み力、④プレゼンテーション力、⑤発想力、⑥ファシリテーション力、と定義したことがありますが、実際に関わったプロジェクトを通して「この人は巻き込み力がある」などと可視化されることで、スタートアップも採用しやすくなるのではないかなと思います。


―― 今回のプロジェクトに、どういった方に参加して欲しいですか。

 スタートアップスタジオに登録している約7,300人はもちろん、スタートアップに挑戦することに興味関心がある方であれば是非とも参加して欲しいです。スタートアップスタジオを通じて、世の中には多くの潜在的なイノベーターが存在することが分かりました。その潜在層に、転職・起業以外の選択肢を示すことで、潜在層の挑戦を後押ししていきたいです。

水野 今の世の中、何らかの違和感を感じている人、変えてみたいと感じている人は多いと思います。その人たちの背中を押すために、そこに挑戦するための方法が、転職や起業しかないなんて思わない欲しいので、それ以外の選択肢を作っていきたいと思っています。

“何で”挑戦したいかさえ明確になれば、後は我々が“何を”、“どのように”挑戦していくかを噛み砕いていくことができます。挑戦したい時に、挑戦しない理由を無くすことが僕らのミッションだと思っています。

何かに挑戦したい人は、環境は揃ってきているので失敗を恐れず挑戦して欲しいです。


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