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【出向起業|体験談】MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社 代表取締役 西田 誠

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。


Q.これまでのキャリアについて教えてください。

大学を卒業して東レに入社。以来ずっと素材を軸とした開発営業に携わっています。ただ、ずっと同じ仕事をしていた訳ではなく、3度の社内ベンチャーに挑戦したというちょっと変わった経歴です。

1度目はまだ20代の頃でしたが、先端フリース素材を使用した製品販売事業を企画しました。この事業は大手SPAとの大規模な取組のきっかけとなる大きな成果をあげました。

2度目は30代から40代にかけて。素材提案型縫製品OEM事業(ODM事業)に挑戦しました。世界中のメーカーや有力アパレル・小売との取組を行い、7年で売上50億円規模に事業を拡大。日本はもちろんですが、欧米、韓台中、東南アジア、インドにバングラデシュ、そしてアフリカにいたるまで世界中を駆け回りました。

そして3度目の社内ベンチャーが、今回の出向起業に繋がるD2C/BtoBハイブリッド型アパレル事業、プロジェクト”MOONRAKERS”です。

こうして話していて改めて思ったのですが、大手企業に就職しながら会社人生の大半がベンチャー事業というのは周りでもあまり見たことがなく、ちょっとではなく相当変わっているかもしれませんね(笑)

今回のMOONRAKERS事業の当初のイメージは、ユーザーのダイレクトボイスで開発の方向性を決め、ユーザーニーズに沿った商品を高速で開発するものでした。

しかし、まず聞こえてきたのは、「衣料品の⼤量⽣産・大量廃棄問題」、「失われていく⽇本の技術」、「透明性に⽋けるサプライチェーンと⼈権・労働問題」など、ファッションビジネスが抱える問題の解決を願うユーザーの声でした。

「ファッションビジネスの問題から⽬を背けず理想を追うべきではないか?」

この志を実現すべく、いままでの組織の枠組みを超えた挑戦を行うために、今回の出向起業制度の活用に至りました。

Q.アイデアを事業化、出向起業へと行動に移された理由を教えてください。

私たちが行うのは、最新の先端技術を活用したD2C事業。

そして、D2C事業で培ったマーケティングノウハウを活かして、アパレル・小売り向けのコラボレーション型OEM事業を組みあわせた、D2C/BtoBハイブリッド型アパレル事業です。

そしてその活動を通じて、共創によるファッションビジネスの変革を目指しています。

東レには最新の先端テクノロジーを搭載した素材を継続的に開発する能力があり、生み出される素材の素晴らしさは私自身が体感していました。

しかし、近年デフレ傾向が続く中、既存の取引先であるアパレル・小売店では「価格重視」の姿勢が強く、加えて、コロナ禍の発生もあり「失敗はできない」と前年踏襲型の傾向も強くなり、最新の先端テクノロジー素材に挑戦してくれる取引先は減る一方、ユーザーに商品を届けるルートが見いだせない状態が続いていました。

そうした環境の中、私たちは「誰もやってくれないのであれば自分たちでやるしかない」と決意し、東レや日本の先端テクノロジー企業のもつ素晴らしい技術をフルパワーで搭載した商品開発を行いました。

そして、自分たち自身がD2Cでユーザーダイレクトの販売を行い、先端テクノロジーを搭載した商品が消費者に支持されるという証明を行い、その上でファッションビジネスにかかわる多くのメーカー・アパレル・小売とのコラボレーションで事業を拡大するという構想で事業化を決意しました。

それは、今まで誰もやっていない「先端テクノロジーによる未来のファッションビジネス」であり、あらゆる方々との共創によって生み出される新たな産業の創造への挑戦です。

Q.出向起業制度の活用にあたって、社内調整はどのように進められたのでしょうか。

制度活用に向けて、まずは関係者へ情報共有を行い、その有用性の実証検証を行うことの承認を得ました。

続いて実証検証を行い、その結果を提示し、同時並行でVCからの出資取り付けも行い、それらを踏まえご理解いただけるまでその必要性を繰り返し説明した…という流れです。

実は、実証検証、有用性の結果出し、およびVCからの出資の取り付けを得るところまではかなりスムーズでした。しかし、関係者の合意形成に至るところにかなり時間を要し、最終の決定までは1年を超える時間を要しました。

非常に先進的なスキームでもあり、また初めての事例でもあるので、しょうがないとは思うのですが、1年という期間は正直長かったですね。

何度も社内ベンチャーを繰り返していますので、新しい挑戦の際に生まれる軋轢とそのストレスには耐性があると思っていましたが、最終の結論がなかなか出ない状況で続いた「リスクをすべてつぶさなければ進めない」というスタンスでの果てしない議論は、正直かなり精神的にもこたえました。(苦笑)

この経験も踏まえ、私自身が経験した苦労をこれから後に続く挑戦者にさせないためには、この出向起業制度の有用性が社会に広く認知されることが必要だと考えています。

後に続く挑戦者のためにも、自分自身が成功事例のロールモデルになりたいですね。

Q.出向起業への応募に対して、周囲の方の反応はいかがでしたか。

家族は、身分保証などの点で不安が軽減されたこともあり、非常に好意的でしたね。

一方、会社でも、議論の過程では様々な意見はでましたが、最終的には「新しい挑戦」として好意的に受け止めていただき、現在では全面的な支援をいただいています。ほんとうにありがたいことだと思います。

当初は、出向起業の仕組みやリスクマネーの出し手であるVCからの資金調達の仕組みなどで組織内に知見がなく、「遠い異国の話を聞いているみたい」といった”特別な話“として、自分ごととしては受け止められない雰囲気がありました。

ただ、最近では、組織内はもちろん関係先企業や外部企業からも「話を聞かせてほしい」、「若手の前で講演してほしい」といった反応が多く寄せられており、身近にモデルケース事例があることの重要性を感じています。

出向起業が特別なことではなく、キャリアの選択肢として当たり前になるよう、今後、私に出来ることがあれば何でも積極的に対応したいと考えています。

Q.今後はどのように事業を展開していく計画か教えてください。

MOONRAKERS事業では、クラウドファンディングの受注生産の仕組みを最大限に活用しており、在庫リスクをもたず最新の先端テクノロジーの魅力を伝える商品を連続してローンチしています。

毎月のような新素材/新商品開発は、業界でも驚きをもって「異次元の開発能力」とも称されており、通常ではありえない超高速での商品開発です。

通常は新素材開発からユーザーが商品を手に取るまで2年程度かかります。

MOONRAKERSではその期間を約半年程度と4倍に高速化しており、ユーザーからの明確なダイレクトフィードバックを元に次の商品開発も迅速に進められています。

これは単なるスピードアップという枠を大きく超え、まるで「未来を引き寄せる」ような感覚です。

また、クラウドファンディングでは応援金額、支援者であるファンの数などが透明に開示されるため、その支持の大きさに驚いた多くの企業からのコラボレーションの依頼が引きも切らない状況にあります。

営業が不要なほどの勢いであり、単独ブランドではなかなか難しい「多くの方々に先端テクノロジーを知っていただき、触れていただく」という事業目的を早期に達成できるのではないかという手応えを感じています。

単独では限界のあることでも、多くのメーカー、有力アパレル、有力小売とのコラボレーションがあれば、可能性は無限大です。

それはまさしく、いままでにない「先端技術による未来のファッションビジネス」の姿ではないかと感じています。今まさに共創による新しい産業が創出されつつあるのです。

今回の出向起業制度の活用で独立起業としてスピードアップが可能となったこともあり、そのスピード感を最大限に活かし、挑戦の気持ちを同じくするすべての方々との共創で、素早く、そして広く事業展開を進めていく計画です。

Q.まず実現したいこと、目標やビジョンがあれば教えてください。

まずは、先端技術を日常生活そのものである「服」に搭載し、ユーザーとダイレクトなやり取りでニーズを踏まえた商品企画を行うことで、従来にない快適で便利で美しい「未来の生活」をユーザーとともに創造していきたいと考えています。

また、その活動を単独ではなく、多くの繊維メーカー、アパレル企業、小売企業などと連動しながら進め、廃れ行く日本の繊維産業を再興し、ファッションビジネス全体を革新し、日本の活性化に貢献していきたいですね。

Q.出向起業にあたっての意気込みをお聞かせください。

私たちが活用する出向起業制度は、スタートアップの数が米国の1/100規模にとどまり新たな産業が生み出せていない現在の日本において、人と技術のリソースを持つ大企業の変革を起こし、日本の閉塞感を打ち破る可能性を持つ制度です。

自分自身がその活用のモデルケースを創り、後に続く挑戦者たちへのロールモデルとなり、閉塞感のある大企業を変革する「出向起業」を社会制度として定着させる、それらを達成することは、停滞し閉塞感のある日本の大企業からどんどん新しい新事業が生まれ、新産業の創造がおこなわれる大きなきっかけになると感じています。

『技術はある。夢は、あるか。』これは私たち自身への問いかけであり、そして日本のすべての大企業、そこで働く挑戦の心を持つみなさまへの問いかけです。そして私たちは、こう呼ばれる存在になりたいと考えています。

『夢があるならば。MOONRAKERSがいる。』私たちが事業の軸とする「素材」は、あらゆる分野へアクセス可能です。それはすなわちあらゆる方々とコラボレーションが可能ということです。

加えて私たちは多くの有力製造企業との連携で最終製品化するための強力なサプライチェーンも保持しており、数千万枚単位の超大ロットでも、数十枚単位の超小ロットでも対応を可能としています。そして最も重要なことは、D2Cでユーザーともダイレクトなつながりをもつことです。

MOONRAKERSでは、作り手(素材から縫製にいたるすべてのメーカー)、売り手(アパレルや小売)、そして使い手(商品を使用するユーザー)を透明でダイレクトにつなぐ事業です。

そして、かかわるすべてのみなさまと連動して、新しい産業を創造し、日本を活性化していく事業を目指しています。

夢をもつすべての方々からのお声がけ。私たちは心より楽しみにしています。


MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社 代表取締役 西田 誠

1970年生まれ、愛媛県出身。岡山大学卒業後、1993年に東レ株式会社入社。

1999年にユニクロへの飛び込み営業をきっかけに東レと同社の取組のきっかけをつくり、出向第一号として同社に赴任。連続社内起業家として3度目の社内ベンチャーとなるMOONRAKERS事業を2020年に立ち上げ、2022年に設立された新会社(ディプロモード株式会社)内で事業を開始。

2023年に本事業の申請者となる MOONRAKERS TECHNOLOGIES株式会社を創業。

「先端繊維技術を用いた革新プロダクトのD2C事業開発を通じた日本繊維産業再構築活性化事業」について

売上を上げるために在庫リスクを抱えながら同質化した商品の大量生産/セール/廃棄や、不透明なサプライチェーンから生まれる人権/労働問題、埋もれ廃れる技術など、ファッションビジネスには様々な問題があります。

本事業では、クラウドファンディングなど受注販売の仕組と、繊維メーカーが素材から⼩売りまでサプライチェーンをトータルコントロールすることから⽣まれる必要なものを必要な分だけ⽣産する仕組を構築。

ノー不良在庫D2Cによる開発・⽣産・販売の一体化で既存の商流を変革し、その仕組みを広くBtoBでも共有することで、ファッション業界の課題解決を目指します。

■会社概要
・問い合わせ先:contact@moonrakeres.jp
・URL:https://moonrakers.jp/

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