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【イベントレポート】「Venture café Tokyo」にて、ものづくりスタートアップ関連イベントを開催しました J-Startup Hour #36~「ものづくりスタートアップのための契約ガイドライン」作成の背景~

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

Venture café Tokyoでは、J-startupを始めとする先進的な取組を行うスタートアップのコミュニティ作り・情報交換を促すイベントとして、”J-startup hour”が開催されています。
今回はソフトとハードの融合特集として、「ものづくりスタートアップのための契約ガイドライン※」の作成の背景について、スタートアップ、製造業、契約ガイドライン作成メンバーにディスカッション頂きました。

※Startup Factory構築事業において、学識者・弁護士等で構成された検討会において作成された、スタートアップと設計・製造業者等の間の取引のためのガイドライン。ガイドラインと合わせて標準契約書も公開されている。

■登壇者
関根 喜之氏
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社 CFO
ピクシーダストテクノロジーズ株式会社:https://pixiedusttech.com/

西内  簾氏
株式会社浜野製作所 設計開発部(知財エバンジェリスト)
株式会社浜野製作所:https://hamano-products.co.jp/

伊藤 毅氏
駒村 和彦氏
ガイドライン作成メンバー

モデレーター
中間 康介氏
環境共創イニシアチブ(SII)

ディスカッションテーマ①:スタートアップと製造業の”協業”の難しさ

まず最初に、ピクシーダストテクノロジーズ関根様から、スタートアップの視点から、製造業との協業の難しさについて、下記のポイントを語っていただきました。

■ スタートアップがものづくりを行う際は、下記3点の難しさがある。
 ① 経験の浅いスタートアップがものづくり工程のすべてを見渡すことは難しい
 ② スタートアップは適切な製造パートナーを探し出すことが難しい
 ③ スタートアップの考えと製造パートナーの考えにギャップが生じてしまう
■ 上記の難しさは、実際にやってみないと分からない。
■ 他社事例・失敗事例から学べることは貴重。公開されているケーススタディガイドラインを、まずは読むべき。

つづいて、浜野製作所西内様より、製造業の視点からスタートアップとの協業の難しさについて、下記のポイントを語っていただきました。

■ スタートアップとの協業において最も重要なプロセスは「仕様決め」
■ アイデアから仕様を引き出し、モノの形に翻訳するプロセス。
■ 仕様を決めたとしても、モノができてくると、「こうじゃない」「もっとこう」といった要望は出てきがち。なので、仕様決めにはとにかくコミュニケーションが重要。
■ 「分からないのでお任せします」でも、「アイデアをそのまま形にしたい」でも、なかなか上手くいかない。「一緒に考えて進めていきましょう」という距離感とスタンスが、よりよいものづくりにつながる。


ディスカッションテーマ②:協業を助ける”契約”の重要性

続いて、この難しいスタートアップと製造業の協業を、契約によってどうスムーズに進めることができるかをディスカッションしました。

ピクシーダストテクノロジーズ関根様からは、下記のようなポイントが議論されました。

■ スタートアップ、特に大学発スタートアップ等であると、法務マインドは低いことが多い。
■ 法務マインドが低いチームでは、「最悪の事態を想定する」ことをせずに走りがち。契約を結ばずに話を進めることも、先方の契約書を内容確認せずに使うことも、大きなリスクをはらんでいると認識すべき。
■ 特に知財については、スタートアップと製造業の間で、知財の保有またはライセンスインについて両者間で握ることが重要。

続いて、製造業の視点から、西内様からの秘密保持条項と成果の帰属先に関する提起がございました。

■ Startup Factory構築事業の中で、スタートアップとの契約書雛形、およびその契約の趣旨を説明する1枚紙などを作成していった。
■ 秘密保持条項の中に「同業他社の仕事は受けない」「目的外の使用は禁止」といった内容があるが、一方でできるだけ多くの企業の案件を受けることで、ものづくりのノウハウは集積されていく。
■ また、成果(製品、仕様書、3Dモデル、図面…等)の帰属先も、スタートアップに帰属することが望ましいことは分かる一方、発案を行うスタートアップと、具現化を行う製造業は、対等であるべきなのでは。
■ より良いものを、より早く作るために、スタートアップと製造業が互いに発展していける契約が重要。


ガイドライン作成メンバーからの一言

最後に、契約ガイドライン作成メンバーである伊藤弁護士、駒村氏からコメントがございました。

■ ガイドライン作成の過程では、多くのスタートアップ、製造業、弁護士等にヒアリングし、様々な意見を取り入れ、実際に使われる役に立つ内容にするように心がけた。
■ 結果、自画自賛にはなるが、かなり良い出来だと自負している。是非ともスタートアップ、製造業の両者に読んで欲しい。
■ ガイドラインだけでなく、契約書雛形も是非参考にして欲しい。解説書も付けており、各条項の意図について説明しているので、取引の内容に応じてアレンジしてもらえれば。


ソフトとハードの融合に向けた経済産業省政策

Startup Factory構築事業は、ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業として、スタートアップとスタートアップファクトリーの連携事例の創出・試作補助を行っております。創出された事例を調査することで、Startup Factory構築事業にて作成した契約ガイドライン、ケーススタディを更新していくことを予定しています。

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