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【資料DL】出向起業をした32社の“その後”が分かる『フォローアップ調査報告書』

“出向起業”を促す補助事業は、これまで令和元年度補正予算から令和5年度当初予算までの4期に渡って実施し、令和5年度の二次公募までで41件※ (一般枠38件、MBO型起業枠3件)を採択・支援してきました。

そこで、これまでの出向起業補助事業による事例を、今後の大企業等における出向起業(を含むカーブアウト・スピンアウト施策)の制度化・定着等に波及させるため、「出向起業の”その後”がどうなっているか?」のフォローアップ調査を実施しました。

「出向起業を活用したい」「出向起業を認めてもらう交渉材料が欲しい」「出向起業をしたいと社員から相談を受けたので理解したい」「大企業内の新規事業・経営人材育成を加速させたい」などと考えている方々にご覧いただければ幸いです。

■出向等の状況 (N=32)

徐々にスピンアウト・子会社化の事例が生まれつつあり、32件中24件は外部資金調達を実施している。

過去に出向起業を行った32件について、既に出向等が終了している案件は11件(退職・独立7件、子会社化3件、廃業・清算1件)。それ以外の21件は、出向等を継続しています。

資金調達(Equity、J-KISS等)を実施している案件は24件、うちシリーズAが2件、シリーズBが1件となり、それぞれ外部リソースを活用しながら事業開発を加速しています。

出向元からの出資の有無については、出資無しの案件が20件と最も多く、それ以外の12件のうち、子会社化した案件(3件)を除く9件は、自社または自社関与のCVC等を経由した出資を受けています。

■出向起業の振り返り(出向起業するまで)(N=32)

出向起業前に、顧客ニーズの検証は最低限必要。出向起業の”目的”は多岐に渡り、出向元の事業・組織課題によって異なる。

出向起業するまでを振り返ってもらった時、出向起業前から1-2年かけて起業アイデアを簡易に検証している案件が多かったです。

起業準備時点で、ほぼ全件においてビジネスモデル立案・ユーザーヒアリングは実施されていました。また、その時点で外部投資家へのピッチを行っている案件は、早期に外部資金調達を達成している案件が多く(12件中11件)、外部からのフィードバックが重要であることが示唆されます。

出向元大企業との間で設定された出向起業の目的については、①大企業のガバナンスを外すことによる新規事業開発の加速、②経営人材育成、③社内風土改革、の順に多かったです。

既存事業へのシナジーについては、直接的な関連事業というよりは、比較的中長期・間接的なシナジー(当該事業が成長することで、既存事業の市場自体が拡がる可能性がある…等)を目的設定しているケースが多いことも出向起業ならではの特徴でした。

また、新規事業に投じる予算が無い場合に、外部資金・リソースを活用するための手段としても用いられていました。

■出向起業の振り返り(出向期間中)(N=32)

出向起業によって、事業開発や人材開発は加速。出向元との定性的な”目的”の目線合わせができていることが重要。

出向期間中の殆どの事業者が、事業推進および自身の人材開発に対して効果があったと回答がありました。

(自由回答)
事業開発が「おおいに推進できた」「推進できた」を回答した理由(一部抜粋)
出向元のリソース・シナジーを一定使いながらも、自由度高く意思決定ができる。
・対大企業への提案等において、出向起業であることがプラスに働くことが多い。
・決裁権が自分にあることで、事業パートナーを自分で見つけることができる。
・顧客の反応によって、事業内容を柔軟に変更できる。
・外部人材登用ができることで、足りないネットワーク・知見を取り入れられる。

人材開発が「おおいに達成できた」「達成できた」を回答した理由(一部抜粋)
会社経営を通してあらゆる会社機能の必要性やコントロールについて実践し、自分自身の成長は著しいと考えたため。
・意思決定の場数がとても多く、責任が全部自分に来るため。自身の意思決定が最後の砦であるというマインドセットができた。
・思うように進まないことや成果が見えづらいタイミングもあり、不確実な状況下でも進む意思や意思決定が重要だと気づかされた。
・日常的に触れ合う人種が大きく変化した(大企業創業者・連続起業家・投資家など)。
・”スタートアップ”として挑戦することの意義や難しさが理解できたので、もし出向元に戻ったとしても、スタートアップとのコラボのハブになれると思う。
・大企業の社員としての一面もあるので、ベンチャー経営者、大企業の立場の双方を俯瞰してみることが出来た。

個社がそれぞれ設定した“出向起業の目的”の達成度についてはばらつきがあるものの、単なる数値・KPI目標ではなく、出向元の経営課題・事業課題に紐付く定性的な目的・目標について目線合わせができている場合、お互いにとってメリットがある形となっているように見受けられました。

出向元と個別に設定した目的を「おおいに達成できた」「達成できた」を回答した理由(一部抜粋)
・【目的が社内風土改革】 出向起業として取材を受ける機会等も増え、発信された情報が社内にフィードバックされている。出向起業を応援してくれる人が社内に見られ、サポートも受けられている。
・【目的が新領域開拓・ネットワーク構築】 出向起業によって外部人材の活用がスピーディーに進んだ点は大きい。内部人材だけの取り組みになりがちな既存の事業プランとの違いを明確に出せたことが社内でも評価につながった。
・【目的が外部資金・リソースの獲得】 出向を通して事業立ち上がりの不安定な時期を乗り越えられた。結果として外部資金調達・スピンアウトが実現できた。
・【目的が既存事業へのシナジー】 社内のガバナンスを外して事業開発をした結果、最終的に自社のシナジーにつながる事業となり、子会社化に至ったため。

「どちらでもない」「達成できなかった」を回答した理由(一部抜粋)
当初、既存事業へのシナジーを目的として設定していなかったが、事業開発が進むにつれて、シナジーに繋がる事業提携案が浮上してきた。短期的なシナジーを目的にしていたら、最初から大きなことをやろうとして、そこには繋がらなかったと思う。

スピンアウト・子会社化した案件についても、継続的に出向元と関係性を維持し、社外での経験や人脈を還元している。

出向等が終了した11件(退職・独立7件、子会社化3件、廃業・清算1件)について、それぞれ出向元との関係性は一定継続しています。

退職・独立した場合においても、出向元への発注等の売上による貢献や、外部人材との交流機会の創出等の外部エコシステムとの接続による貢献等を行っている事例は存在します。

子会社化したケースなどでは、元社の社内ベンチャー制度のメンターを務めるなどで、経験を還元しているケースもあります。出向元自身が、出向者が外部で得た経験や人脈などを、どう活用できるかも合わせて検討していくことが必要だと考えられます。

調査方法

  • 令和4年度までに出向起業を行った33件(MBO型起業枠を除く)を対象に、 ”その後”に関するフォローアップ アンケート調査を実施した。

  • WEBアンケート方式により全数調査を行い、回収率は33件中32件。

  • 2023年8月末日時点の情報を調査した。 

  • 自由回答については、アンケート回答および個別ヒアリングの内容を一部抜粋している。個社の特定を避ける目的にて、一部表現の修正・加工を行っている場合がある。

※本調査では、令和5年度の採択事例およびMBO型起業枠は除外しております。

フォローアップ調査報告書の全体版DL

本記事では抜粋して調査報告書の一部を紹介しましたが、出向起業の“その後”から、出向起業の有効性、行った事業者の準備状況などを読み解くことができるフォローアップ調査報告書の全体版は、下記の『お役立ち資料DLページ』から無料DLできます。

また、出向起業の活用を検討される個人・企業向けの個別相談も受け付けております。お気軽にご連絡ください。

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