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【林業×空間型VR】森林資源を活かした没入感溢れるデジタルコンテンツを社会実装する

森林は、国土の3分の2(林野庁の統計を参照)を占め、防災、治水、生物多様性など、多面的な機能を持ち、文字通り日本を支える重要な資源です。しかし、林業従事者数の減少・高齢化などを背景として、今後異分野の新しいアイデア・技術等を導入・活用していく取組が重要視されています

以前、林野庁実証事業の事務局として当社(一般社団法人社会実装推進センター:略称)が作成した『ガイドライン』をサクッとご紹介しました。

■森林・林業分野における新事業開発ガイドライン
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今回の記事では、上記ガイドラインで紹介されている森林を活用した『価値の生み方のパターン』の6つの内の1つである『森林コンテンツ活用』について、新規事業開発の実例も踏まえて詳しく、わかりやすく解説していきます。

森林・林業関係者の方はもちろん、異分野事業者のみなさんにも森林・林業分野に興味を持っていただけますと幸いです!
ぜひ、ガイドラインを片手にご覧ください。

新たな価値を創出する『森林コンテンツ活用』とは?

『森林コンテンツ活用』による価値創出は、異分野人材が森林のフィールドや素材を活用して ” 森林 ” に関する情報・素材をコンテンツ化することで森や地方への興味を喚起し、価値を生み出す手法です。

森林・林業分野の関係者の中だけで保有され、閉じられてしまっている属人的な情報・データをコンテンツ化して配信することは、新規事業創出においてとても効果的な手法のひとつです。

『森林コンテンツ活用』の課題

森林・林業分野における” コンテンツ ”の活用というと主にイベントやセミナーが挙げられますが、単発の実施では十分な数の消費者へ拡散させることができません。また、コンテンツを作り続けられる体制・仕組みの構築が主な課題となっています。

事業として成立させるには、継続的にコンテンツが生成され、配信される仕組みをサービスとして確立させることが必要です。

では、具体的にどういったケースが該当するのか、次の章で実例をご紹介していきます。


【林業×空間型VR】フォレストデジタル社の事例

森や自然の高精細立体映像、葉のざわめき、森の香り、自然な風を体感しながら森林浴や旅を体験できるデジタル森林浴空間「uralaa(うらら)」の開発、(主に企業や自治体向けに)提供しているフォレストデジタル株式会社(以下、フォレストデジタル社)の事例です。


有識者との連携から生み出した、” 継続的な ” 利用ニーズ

フォレストデジタル社は、『デジタル森林浴』事業の社会実装・普及展開に向け、林業関係者が持つ情報や素材を活用し、森や地方への興味を喚起するコンテンツの開発に取り組みました。

まずはじめに、国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所(林野庁所管の国立研究開発法人)との共同研究・実証実験を行い、『デジタル森林浴』のリラックス効果についての論文とエビデンスを発表しました。
この論文内では、『デジタル森林浴』には疲労回復効果があり『リラックス空間』の創出が可能であることを明らかにしており、これによって、当該事業の継続的な利用ニーズを創出しました。

実際に公開された論文・プレスリリース


クローズドになっていた情報を活用して生まれた、尖ったコンテンツ

フォレストデジタル社が次に着手したのは、『デジタル森林浴』事業の拡張性の担保と市場規模の拡大です。

フォレストデジタル社は林業関係者に360度カメラの撮影方法などをレクチャーし、彼らが独自に知っている、いわゆる ” 映えスポット ” を各々に撮影してもらいました。

集めたそれらの素材をフォレストデジタル社が壁・天井に投影できる形に加工し、コンテンツ化。更に、映像を投影する部屋の広さや天井の高さに応じて映像を自動補正する機能を開発し、場所やビジネスモデルの制約を減らすことで市場規模の拡大を図りました。

ここでの重要なポイントは、フォレストデジタル社がコンテンツの拡張性を担保する開発することだけではなく、林業関係者に協力を仰ぐ際に、金銭的メリット以外の地域のPR、森林産業への興味喚起などコンテンツ化の長期的なメリットを説明したことです。

関係者がお互いに長期的なイメージを共有することが、継続的な事業に繋がります。

林業関係者の協力により、フォレストデジタル社だけでは収集できなかった森林の素材を活用した、よりユニークな立体映像コンテンツが実現しました。


外部との連携を拡大し、社会実装に拍車をかける

事業拡大に向けた基盤と拡張性を整えたフォレストデジタル社は、オフィス環境構築事業を展開している株式会社オカムラ(以下、オカムラ社)へ、林業関係者の協力も得て開発した『空間型VR uralaa(うらら)』を提案。導入にまで繋がり、オフィスへの導入実績を創出しました。

2023年3月には両社間で販売パートナー契約を締結し、オカムラ社が全国に有する販売網を活かして、オフィス空間の新しい価値創造とワーカーのウェルビーイング向上を目指したコンテンツ提供先の開拓を加速させています。

フォレストデジタル社は林業関係者との協同を皮切りに、他事業社を巻き込むことで市場規模をさらに拡大し、自社の持つ技術・コンテンツの社会実装・普及を実現しました。


『森林・林業分野における新事業開発ガイドライン』ダウンロードはこちら

今回紹介したフォレストデジタル社の事例も収録されている『森林・林業分野における新事業開発ガイドライン』では、本記事ではまだ紹介していない森林を活用した『価値の生み方のパターン』の詳細、他の事例も多数ご紹介しています。

下記のURLより情報入力なく、無料でダウンロードできますので、今回の記事を読んで森林・林業分野に興味を持ってくださった方はぜひ一度、本ガイドラインをご一読いただけますと嬉しいです!

■森林・林業分野における新事業開発ガイドライン
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