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【出向起業|体験談】株式会社トイエイトホールディングス CCO 松坂 俊

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

会社に貢献しながらも、やりたいことを体現できる場所を作りたい

―― 出向起業する前はどういうお仕事をされていましたか。

外資系広告会社のマッキャンエリクソンに海外留学後の第二新卒として入社しました。メディアバイヤーを2年半、メディアプランナーを3年経験して、制作部門に異動しました。

広告制作に数年携わったのちに、トラディッショナルな広告以外の仕事や新規事業に興味を持ち、マッキャン・ワールドグループの若手有志で「McCANN MILLENNIALS(マッキャン・ミレニアルズ/以下、ミレニアルズ)」を立ち上げて、携わるプロジェクトを通じて大企業と新規事業に取り組むようになり、出向起業した現在に至っています。


―― ミレニアルズの活動とは?

若者により働きやすい環境をと考えていた会社のサポートをバックに、もっと若者が「打席に立つ機会」を増やしたいと思って同僚3人で立ち上げました。特に新規事業に特化しているわけではなく、国内外の若手社員が、自分たちがやりたいプロジェクトを企画して自分たちが動きます。

私自身がミレニアルズを立ち上げメンバーと、まず世に出そうとしたのがAI-CD β「(エーアイ・シーディー ベータ)」です。人工知能のクリエイティブディレクターをつくり、実際にクライアントのCM制作を行いました。AI-CD βを新入社員として入社させて、社内では辞令もちゃんと出してもらい、名刺も作りました。

広告制作の依頼を頂いて始まるクライアントワークだけではなく、自主的にサービスを開発して価値を世に出していくことができることを、メンバーそれぞれが自社内・グローバルネットワークを使って体現しています。


―― その活動が今のトイエイトへつながるのですね。

そうですね。大企業の新規事業に多く携わらせてもらう中、いわゆるスタートアップの方々との協業も多く、“つまずくポイント”、“うまくいくポイント”を間近で見ることができたのはいい経験でした。2017年にマレーシアクアラルンプールと東京の2拠点で仕事をする中で、マレーシアで日系大企業が実証実験を行っていた知育展示プログラム「トイボックス・オブ・ジャパン」と出会いました。この実証実験が大きな反響を呼んで、マレーシアで事業会社を立ち上げるタイミングで、CEOの石橋から創業メンバーとして声を掛けてもらいました。

元々、私自身が子どもの頃、学校教育の制度にあまりはまっていなかったこともあり、教育自体にずっと課題意識がありました。ちょうど子どもが生まれ、私なりにどういう育て方をしていくか真剣に模索していたタイミングと重なったこともあり、公私共にフルコミットして向き合いたい事業だと感じました。

トイエイト メンバー


多重知能理論に基づく提案で、“すべての子どもが才能を発揮できる世界をつくる”

―― どういう教育・教育事業を目指していますか。

私自身の原体験として知る・分かることへの楽しみ・欲求をすごく持っている子でした。学校は好きな一方で勉強のために教室で50分近く座ることが苦痛で、試験で評価をされるという“フォーマット”に全くはまりませんでした。調べてみると私自身は文字を通じて情報をインプットするのが苦手で、会話や実際に手を動かす体験などから学ぶ方が向いているようです。

現代の学校のフォーマットに合う子どもが優等生、それ以外が劣等生というのは世界の大きな機会損失ですし、多様な子どもの可能性を信じられる世の中であるべきだと考えて、トイエイトは「すべての子どもが才能を発揮できる世界をつくる」というミッションを掲げています。

すべての子どもの才能を見える化し、強み・学び方・成長をすべての親が分かるようなシステムを作りたい。親が子どものことで劣等感をもつと、声に出さなくても子どもは敏感に感じとります。自分の子どもにどんな才能があるか、それを親が理解することで、子どもとの向き合い方も変わっていくはず。そのためには観察が重要で、子どもがどんなことに熱中しているか、どんな時に楽しそうにしているかなど、本気で向き合って、意識して観察することが大切です。


―― その正しい“観察“をサポートするのがトイエイトの役割ですね。

遊んでいる子どもを観察することが一番自然に知能を見つけることができる環境です。その環境として今後マレーシアにオープン予定のプレイグラウンドでは “意図を持った遊び”を用意しています。

知能測定の権威であるハーバード大学のハワード・ガードナー教授が作った8つの領域で子どもの知能を測る「多重知能理論」に基づき設計した遊び場で、そこに音楽や体を動かす、ロジカルに考えるなどの意図を持った遊びを配置します。そこではセンサーやカメラを使用して遊んでいる子どもたちを分析するという検証を行なっていきます。

8つの領域で子どもの知能を図る

最終的にはプレイグラウンドとその子の才能に合わせた、最適化された知育玩具が届くサブスクリプションサービスを考えています。届けた玩具を使って子どもたちがどういう遊び方をしたか親御さんからフィードバックをもらいトラッキングしながら、プレイグラウンドに遊びに来た時にはその情報をもとに新しい遊び方・提案ができるような、パッケージでサブスクリプション提供する予定です。

遊びと学びを提供するサブスクサービス


壁にぶつかって辞める選択肢を選ぶ前に、出向起業という選択肢も知って欲しい。

―― 補助金に採択された感想を聞かせてください。

元々、所属会社は挑戦を応援する風土があり、恵まれていると感じています。一方で、社員として最初は貢献が減ることの心苦しさはあります。

社内で誰もやったことがないチャレンジであり、実績のような後ろ盾もありません。そういう点で、補助金という資金面での支援だけでなく、経済産業省が旗振りをしているこの事業に採択されたこと自体が大きな励みになりますし、心強く感じています。


―― 応募を検討している方や起業を志している方へ一言お願いします。

起業を検討している方には、所属企業を辞める起業だけでなく「出向起業」も選択肢にいれることをお勧めしたいと思います。応募を検討している方に対しては、ためらう理由は何もないので、チャレンジして欲しいです。出向起業の仲間が増えることを期待しています。


松坂 俊(まつざか しゅん)氏

イギリスで美術大学を卒業後、外資系広告会社マッキャンエリクソンに入社。
マッキャン・ワールドグループ国内外のメンバーで構成されるユニット「マッキャン・ミレニアルズ」を立ち上げる。
2017年よりマレーシアと日本の2拠点生活を開始。
2018年より「すべての子どもが才能を発揮できる世界をつくる」をミッションに掲げるエドテックベンチャー、トイエイトを創業。

「才能分析システム実証事業」について

・東南アジア地域の民間教育市場は28兆円といわれ、今後5年で毎年7~11%の成長が見込まれている。本事業では、市場のターゲットとなる2-10歳の子どもを持つ保護者が抱える自分の子どもにあった学びと遊びを継続して提供したいというニーズを満たし、解決するための知育プロダクトを提供する。
・200種以上のコンテンツの中から才能分析の結果と多重知能理論によって最適化された豊富なコンテンツが提供可能になっている。

■会社概要
・問い合わせ先|info@toyeight.com
・URL|https://www.toyeight.com

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