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【イベントレポート】エンジニアのキャリアを深める

※本記事は、当団体が制作したWebサイトの掲載記事を再編集後、移設しており、肩書・内容は掲載当時のものとなります。

短期的な転職ではなく中長期的なキャリア形成の場として、スタートアップにチャレンジする人を増やすことを目的に開設されたCareer Academy。2021年12月17日(金)に開催された第7回講義の模様をご紹介します。(前回レポートはこちら

●第7回講義 開催について
Career Academyオムニバス型連続講義の第7回は、「エンジニアのキャリアを深める!」をテーマに、大企業からスタートアップへキャリアを移された3名の方にご登壇いただきお話を伺います。

登壇者の紹介

―― 西中 それでは、登壇者の自己紹介からお願いいたします。

 アマゾンウェブサービスジャパン合同会社(AWS)の畑です。1997年に新卒で日本IBMに入社し、メインフレームのインフラSEや通信業界のテクニカルセールス等を担いました。その後、ヘルスケアスタートアップの起業や機械工業系の会社でEC事業の立ち上げ等を経て、2013年に現在のAWSに入社しました。AWSでは、これまでのスタートアップでの経験を生かし、スタートアップ支援チーム立ち上げにおける事業開発を担い、CTOコミュニティの構築や、コワーキングスペースの立ち上げ等を経験してきました。

和田 株式会社インゲージ代表の和田です。私は、大学卒業から約33年間ずっとIT業界に関わってきました。新卒でKONAMIに入社して、ゲーム開発エンジニアとしてキャリアをスタートしました。KONAMIでは、ゲーム開発のプロジェクトリーダーを務めました。約9年経って転職したノーリツ鋼機では開発部長、ワシントンDCにあったIT企業の取締役を務めました。帰国後、ITベンチャーにて日本発アメリカ向けB2Bクラウドサービスを成功させた後、2014年に現在のインゲージを起業しました。

赤沼 ユニファ株式会社CTOの赤沼です。ユニファは、「家族の幸せを生み出すあたらしい社会インフラを世界中で創りだす」をパーパス(存在意義)に、主に保育施設に対しB2Bのサービスを提供している会社です。私は、エムスリーやNubee Tokyoでの開発業務を経て、2015年に現在のユニファ株式会社に1人目の正社員エンジニアとして入社し、開発とインフラ関連の業務に従事していました。2016年4月より同社のCTOに就任し、開発の実務はメンバーに任せ、自身は採用や組織運営に注力をしています。

右上:赤沼寛明氏、右下:畑 浩史氏、左下:和田哲也氏、左上:西中孝幸氏(モデレーター)


テーマ①:エンジニアのキャリアについて考える

最初は誰もが未経験者。主体的に新しい技術をキャッチアップしていく姿勢が重要

―― 西中 それでは、最初のテーマに入らせていいただきます。エンジニアのキャリアといっても開発者として高みを目指す「スペシャリスト」や培った技術をベースにCTOやPM等のマネジメントを目指す「ジェネラリスト」等、様々な職種やキャリアの積み方があるが故に、多くの方がキャリアイメージを描き難い、もしくはロールモデルを見つけ難いという問題があると思います。

本日登壇いただいた皆様はいずれも開発エンジニアからマネジメントにキャリア転換をされていますが、エンジニアとしてのファーストキャリアにおいて大切にされていたことやマネジメントとしてのキャリアを歩むことになった”転換点”をお聞かせください。

赤沼 私の場合は完全に未経験でこの業界に入ったため、周囲に対して劣等感が凄くありました。経験者の方に負けないよう、自分に不足していること棚卸しをして必死にキャッチアップをしました。当時、会社が開催するセミナー等もありましたが、プライベートの時間を削って自分で勉強するなど、主体的に動くことを意識していました。

基本的には、自身が対象としている領域を一通り自分で出来ることをゴールとして、そのために何が足りないのかを棚卸しして勉強していました。関連書籍を読んで勉強することも大切ですが、Meetupを通じた勉強会に参加して世の中のトレンドをキャッチアップするなどして、自分の守備範囲を広げていくことが大切ですね。


―― 西中
 綺麗な全体像を描くというよりも、実際に自分で経験していく過程で足りない部分を探し、キャッチアップしていくことが大切なんですね。

和田 私は大学卒業後、ゲーム開発エンジニアとしてキャリアを始めました。キャリアをスタートしたのは1990年ですので、恐らくまだ生まれていない方も参加いただいているのではないでしょうか。当時は「ITエンジニア」という言葉もメジャーではなく、ゲーム開発者という職業も「ちゃんとした仕事」と位置づけられてなく、周囲からは「ゲーム開発者になんかなったら30歳で定年だよ」と言われている時代でした。

そんなことが言われている時代でしたが、学生の頃から「自分が好きなことを仕事にしたい」という気持ちが強く、当時没頭していたゲームの開発者になりたいと思っていたので、KONAMI一本に絞って就職活動をした結果、大学3回生の3月には早々に内定が決まりました。ちゃんと仕事ができる状態で入社したいと思い、入社までの約1年間は関連書籍を読み込んだり実際にプログラミングしたりなどの勉強を沢山しましたね。

―― 西中  少しファーストキャリアからは話が逸れますが、和田さんが起業される以前、ゲーム開発以外の領域をキャッチアップするにあたって大切にしていたことはなんでしょうか。

和田 ITの世界は本当に厳しく、常に勉強しなければいけない業界だと思っています。他の業界だと一度覚えたことをずっと突き詰めていけばいいものでも、IT業界ではベースとなるプログラミングのスキルを習得した後も、常に新しい知識を並行して覚えていかなければならないので結構大変です。そういった意識は誰かに教わるものではないと思いますが、私の場合は、周りの優秀な先輩方に追いつきたいという強い思いがあり、ハングリーに知識を深めていきました。

どんな仕事でも好奇心が大事だと思います。自分が書くコードだけじゃなく、他人が書くコードを見て、「どうやって動いているんだろう?」という疑問を持ち、アプリケーションレベルからより深い部分、OSやネットワーク等のハードウェアのレベルにまで興味をもって知見を深めていったというのが、マネジメントに進む前のファーストキャリアとして心掛けていたことです。

―― 西中 畑さんにも、どのようなファーストキャリア、ビジネス側への転換点があったのかお伺いできますか。

 SEとして新卒で入社して最初のミーティングで先輩の隣に座っていましたが、話している内容が全く理解できませんでした。喋っているのは日本語であることは分かりましたが、内容の理解度は0%、こんな世界があるのかと衝撃を受けました(笑)仕事なので何とかしないといけないと思い、そこから先輩が書いたコードや動作などを毎日ひたすらノートに取るなどしてキャッチアップしていきました。

7年間、インフラSEとして大型汎用機(メインフレーム)を担当したのですが、振り返って良かったなと思うのは、アーキテクチャの原理や仕組を理解するというプロセスは、当時のメインフレームでも現代のクラウドでも共通するものがあるので、当時の経験が生きていると思います。

7年のキャリアの間で凄いなと思ったことは、ありとあらゆるトラブルを経験しましたが、原因が分からなかったトラブルは一つもなかったんです。トラブルが発覚した際は勿論パニックになりますが、その原因は自分が組んだコードが間違ったからで、トラブルが起きる未来は遅かれ早かれ決まっています。この原理に気づき、システムのような確実性なものではなく、不確実性の要素を持つビジネス系の仕事にも興味を持つようになったのが、キャリア転換のきっかけになりました。

―― 西中 エンジニアからビジネス側にキャリアチェンジした際、エンジニアで学んだことが生きた経験などありましたか。

 ビジネス系の仕事でも、エンジニア時代の経験は凄く生きています。例えば、論理矛盾があるとコードが組めないので、徹底的に論理的に考え抜く点は凄く鍛えられましたし、メインフレームはとにかく障害が起こってはいけないので、あらゆるリスクを想定して構築していたことから、リスクヘッジのスキルも備わっていました。また、エンジニア時代のトラブル発生時には一分一秒を争う中で取捨選択をしないといけない場面が多く、その時々でベストな選択をする決断力を養う訓練をしてきたのも生きています。

―― 西中 皆さん共通して、ファーストキャリアではキャッチアップを重ねて基礎から学んでおられますが、当時と現在では、学ぶものや学び方に一定の変化があると思います。

これから技術を学ぼうとしている人は、今の環境でどういう学びをしていけばいいでしょうか。エンジニアからビジネス側にキャリアチェンジした際、エンジニアで学んだことが生きた経験などありましたか。

和田 他人が書いたソースコードを沢山読み解くことをお勧めします。「なぜこういうコードにしたのか?」という興味を持って読み解くと多くの発見がありますし、得るものも大きいと思います。

赤沼 和田さんの意見に同感です。エンジニアにとっては最終的にソースコードが全てだと思いますので、綺麗に書かれているレベルの高いものを選んで読むことが大事ですね。

 もしかすると、これから学ぶ人からしたら「レベルが高いソースコード」のイメージが湧かないかもしれませんね。

和田 オープンソースでメジャーなものをレベルが高いソースと定義して良いと思います。それを沢山読みこむことで凄く勉強になると思いますよ。私の新人時代には、現在のようにコードが沢山公開されていなかったので、是非活用してください。

―― 西中 和田さんと赤沼さん、お二人はエンジニアからマネジメントへのキャリア転換をされていますが、その選択をされたきっかけや当時の心境についてお聞かせください。

赤沼 私はずっとエンジニアをやってきて、CTOになったのは現職に入社してからですが、入社当初はそれで何かが大きく変わるとは考えていませんでした。CTO候補として入社しましたが、自分で開発をしていくという点でこれまでのエンジニアでのキャリアと変わらなかったですし、私自身もエンジニアとしてずっとコードを書いていたいと思っていました。

しかし、組織が大きくなるにつれ経営ミーティングや採用など開発以外にやらなければならないことが多くなり、開発にかける時間が少なくなってきました。その結果、自分が開発に関わっていることで開発が遅れてしまい、「赤沼さんのコードが終わらないとリリース出来ないんですけど。」とメンバーに言われたこともありました(笑)

そういった経緯もあり、開発はメンバーに任せた方が結果的にスループットも上がりますし、組織の全体最適を考えて役割を移行していきました。ただ、直接関わらなくても、開発の知見がないとメンバーからのエスカレーションや技術的な判断などは出来ないのでエンジニアの経験は決して無駄になってはいません。また組織に目を向けると、技術を理解していないと適切な人材配置や人材採用の判断が出来ないので、CTOというキャリアパスを歩むうえでもこれまでの経験が生きていますし、今後も技術面のキャッチアップをする必要があると考えています。

和田 私のキャリアの場合、ゲーム会社のエンジニアとして、最初はゲームの中の一部の開発を任されるわけですが、それが想像以上に面白く、より幅広く「ゲーム全体を作る仕事がしたい」と思うようになりました。当時KONAMIには企画部門がなく、開発チームのリーダーが開発企画を担っていたので、希望を実現するためチームリーダーになりたいと思いました。チームリーダーを担うということはマネジメントをしなければならないので、これまでのように開発に掛けられる時間が減ってしまう点は少しジレンマを感じましたが、ゲーム自体の企画を担うという点では自然の流れでしたので、マネジメント側にキャリアを進めていきました。

―― 西中 学生や新人時代は「技術をキャッチアップする」ことに重点を置かれていたところから、「技術を世の中に出す」ということにシフトしたということでしょうか。

和田 おっしゃる通りです。ただ私自身、開発が好きなので、チームリーダーになってからもコーディングする機会はゼロではありませんでした。部長に昇進して抱えるメンバーが50、100人単位になってきて、とうとうその機会は無くなりましたが、今でも趣味でアプリ開発をしています(笑)


テーマ②:エンジニアがスタートアップに転職する際に注意すべきこと

エンジニアのスタートアップ転職のリアル。会社自体が上手くいかなかったとしても、スタートアップでの開発経験は次に繋がる

―― 西中 皆さんのキャリアのお話をお聞きし、アウトプットの種類や方法は変わっても、根本には「良いものを作りたい」という思想や考え方は、例えキャリアを移行しても変わらないものだと分かりました。

それでは、次のテーマに移ります。下記の図は“エンジニアがスタートアップに転職する際に注意すべきこと”を抜粋したものになりますが、スタートアップに転職された経験者としての実態をお伺いできますか。

 私は、大企業からスタートアップに転職、その後大企業に戻っていますが、新卒で大企業に入られた方は、一度、大企業からスタートアップへ行くと二度と大企業には戻れないと不安に思う方も多いのではないでしょうか。就職活動で苦労の末、やっと手に入れた大企業のキャリアを捨てて、スタートアップへ飛び込んで、もし失敗したらという漠然とした不安もあると思います。しかし仮に失敗したとしても、スタートアップでの経験は転職面接時に大企業にすごく刺さるんですよ。もちろん、大企業からスタートアップに行って、そのまま活躍できれば良いですが、仮にそこで失敗しても大企業に戻れないことは決してないですし、次のステップに進むうえでもプラスにしかならないと思いますよ。

和田 私はグループ数千人抱える大企業で国内外の取締役・部長などをしていたので、当時年収も高い方だったと思います。2011年に日本へ帰国するタイミングでITのスタートアップに転職しましたが、大きな不安はありませんでした。勿論、年収は下がりましたが自分としてはあまり拘りを持っていませんでした。なぜかというと、その転職先は私が作りたいものを作れる会社だったからです。

アメリカ駐在時代には「世界を相手に物を作る」ということに凄くモチベーションを感じていましたが、帰国後、転職先を探していた際、「アメリカ向けに企画段階からITサービスを作る開発責任者」という募集を見つけ、「これは正に私のための募集だ!」と思い応募したんですが、それが結果的にスタートアップだったんです。転職先を検討する際には、自分は「何がしたいのか?」「何が楽しいのか?」「何が好きなのか?」を考えて選ぶことが1番だと思います。

赤沼 私も、大企業からスタートアップにいくことでキャリアに傷がつくとは決して思っていません。大企業もスタートアップも関係なくエンジニアが必要で採用活動をしているので、スタートアップ出身エンジニアだから採用しないということはありません。仮に一度スタートアップへ行って失敗したとしても、事業的な失敗であればエンジニアだけの責任ではなく、そもそものビジネスが問題というケースもあるので、2~3年の間に成果を出すためにどのように行動をして実績を積んできたのかを証明できれば、大企業へ戻ってくる際にも決してマイナスにはなりません。

和田 個人的に、画像の中にある『経営陣の事業へのモチベーションが低い』というワードに凄くビックリしました。どちらかというと、スタートアップだと経営陣のモチベーションが高いと思っているのですが、そのような意見もあるのでしょうか。

 スタートアップにも様々なステージがあるので、ステージが進んで成長が鈍化したスタートアップでは起こり得るのかもしれませんね。

―― 西中 私は普段、スタートアップの採用のお手伝いをしていますが、スタートアップの定義はだいぶ幅広く包括していて、外部からの資金調達をしてでもアクセルを踏もうとしているモチベーションの高い経営陣もいる一方で、とりあえずプロダクトを作ってスタートしたという会社も含まれていて、転職上の情報ではひとまとめにされてしまっているケースもありますね。

画像のキーワードからピックアップしますと、『働き方/就労環境』について、大企業とスタートアップは違う部分があると思いますがいかがでしょうか。

赤沼 会社によって異なりますが、基本的には大企業の方が安定していると思います。スタートアップは如何に短期間でサービス提供していけるかが肝なので、リリースのスピードを速めるためには、遅くまで残業しないといけないこともあります。

 大企業で働くなかで、よりやりたいものが見つかればスタートアップに行くという意見もありましたが、スタートアップに行くことで、大企業で見えていなかったことが見えてくると思います。例えば、大企業では社内のインフラ環境も含めて専門部署がやってくれますが、スタートアップでは全て自分でやらないといけません。やりたいことをやるだけでなく、細かい雑務を含めて自分で楽しめる人じゃないとスタートアップに向いていないかもしれません。

和田 大企業の多くはビジネスが固まっていて、エンジニアに限らず仕事の幅も決まっているので、与えられた仕事をいかに品質高く効率良くやるかが求められ、残業も抑えられていると思います。一方のスタートアップでは、PCの発注どころか日報の作り方さえも自分たちで考える必要があるなど、細かい部分を含めてモノ作りに強い興味があるかが大切だと思います。

―― 西中 『プライベート』というキーワードもありますね。転職を考えられている人は、面接の際に聞きたいけど聞き辛い点かと思いますので、是非リアルな実態を教えてください。

和田 経営者の立場でお話をしますと、経営者にプライベートはほぼないですね。常に仕事のことを考えてますし、合間で子供の世話などをしています。

赤沼 私も役員という立場なのでメンバーとは少し異なり、いつでも休める代わりに成果を出さないといけないので、基本的には仕事がメインで、空いている時間をプライベートに使っています。ただ会社としては「家族コミュニケーション」をメインのテーマに据えており、メンバーに対しては家族最優先で産休育休など柔軟な働き方ができるように配慮しています。

 スタートアップに転職してから予期しない状況は幾つも起きましたが、トラブルが発生したら絶対直さないといけないというガッツは大企業で鍛えられていたので、私としては大きなギャップは感じませんでした。

和田 自分が書いたコードがきちんと動くか見届ける「責任感」のようなものが仕事のなかで生まれてきますよね。ゲーム開発も基本は仕様書・企画書の通りに作りますが、作っていく間に「こうしたら面白いんじゃないか?」というアイデアが出てきて、納期は変わらないのに工程は増えていく状況でした。その分仕事はハードでしたが、好きだから徹底的にやるという気持ちがありました。ただその中でも、結婚や子育て等、大企業、スタートアップ関係なく仕事とプライベートのメリハリを付けるように意識していました。

―― 西中 これからスタートアップへの転職を考えているエンジニアの方に向けて、事前に確認すべき点などアドバイスがあればお願いできますか。

 私は、仕事柄多くのスタートアップのCTOの方と会話するのですが、経営層がエンジニアへの理解やリスペクトがあるかは重要です。経営者の過去の経験にもよりますが、モノ作りへのリスペクトが乏しく、同じ社内においても発注者と受注者のようなスタンスの職場で働くのは大変だと思います。

それをどう見極めるかですが、例えばCTOポジションに技術を理解できるエンジニア出身者がいるなど、ダメな会社を見分けるのではなく良い会社を見分けることをお勧めします。

和田 自分が何をしたいかも重要だと思います。スタートアップにはシード、アーリー、ミドル、レイターとステージがあり、「企画段階からゼロイチで何かを作りたいならシード、アーリー」「元々ある製品をより良くしたいのであればミドル、レイター」というように、自分がやりたいことと企業のステージを照らし合わせて、転職するスタートアップを選ぶのも良いと思います。

経営陣のスタイルも重要でして、私のようにモノ作りが好きな経営者がいる一方、営業戦略を重視している経営者もいて、どちらもそれぞれ強みがあり社風にも関わってると思います。どういうタイプが合っているのか、先ずは自分で棚卸しをしたうえで、企業のカジュアル面談などを通じて、実際に働いている人と会話して見極めていけば良いと思います。

最後にこれだけは絶対に言っておきたいことは、何より自分が転職しようとしている会社のプロダクトが好きであることが凄く大事です。

赤沼 経営層、特にCEOが技術に理解があるかが重要です。和田さんのように元々エンジニアをしていた方がCEOになるケースは日本において少なく、多くはビジネスサイド出身者がCEOになるケースが多いです。私自身がCTOとして感じるのは、経営層の中で技術寄りの人がCTOしかいないので、CEOに技術面での理解やリスペクトがないと、経営層のバランスが取り辛くなり、結果として会社の方針もビジネスサイドに寄ってしまいます。

和田さんも先ほど仰っていましたが、転職先のプロダクトやビジネスモデルが好きかどうかも大切ですね。特にシード、アーリー期のスタートアップは環境面で余り良くないことも多く、スタートアップは総じて資金面で余裕がありません。「スタートアップは何でも好きなことが出来る」という認識は間違っています。だからこそ、「ここでモノ作りがしたい」という強い想いが無ければ、スタートアップはお勧めしません。

―― 西中 スタートアップ入社前後での役割が思っていたものと違っていた、という声も耳にしますが、そういった実態はあるのでしょうか。

和田 経験上、スタートアップへの入社前後で大きなギャップは感じたことはありませんが、スタートアップに対しキラキラとした大きな夢を見てしまうかもしれませんね。

 それこそ、カジュアル面談を重ねて実際に仕事をしている人がどんな表情でどんなことをやっているのかリアルを知ることが大切ですね。

赤沼 採用する立場としては、スタートアップのキラキラしている部分を推していかないといけない側面もありますが、入社前後のギャップが大きい人の傾向として、転職先を選択する際の想定範囲を狭くしてしまっているのかもしれませんね。

和田 スタートアップに就職したにも関わらず「仕事は限られた範囲に留めたい、広げたくない」という狭い考え方の人は一定数いますよね。特に大企業のエンジニア等は、自分が与えられた仕事をやっていけばいいという考え方でキャリアを積み重ねてきた方にありがちかもしれません。

―― 西中 あっという間にお時間になってしまいました。最後に登壇者の皆様から一言ずついただきたいと思います。

 スタートアップへの転職にリスクはありませんので、興味・関心があればどんどん飛び込んでください。転職先を探すにあたり、今回のイベントの主催者だから言うわけではなく、JAFCOのようなベンチャーキャピタルに相談することもお勧めです。転職市場に出てない会社も見つかるかもしれませんので、是非活用してください。

赤沼 スタートアップで働いている身としては、エンジニアの方がスタートアップに沢山来て欲しいので、是非挑戦していただければと思います。転職のリスクを下げるためには、本日お話したように予め吟味したうえで選ぶことが大切です。「この会社でやりたい」という会社が見つかれば、是非飛び込んでみてください。

和田 自分がどのようなタイプなのかを意識することが大切です。モノ作りがしたい、それを成長させたい、世の中に発信していきたいなど、自身の志向によって転職するスタートアップのステージを変えれば良いと思います。ワークスタイルの中で、プライベートの時間を絶対に持ちたいのであれば、スタートアップはお勧めしません。今までにないものを作りあげていくことがスタートアップの存在意義だと思っているので、完成された仕事をやっている大企業よりも、ハードに仕事をしないといけない頻度は多いと思います。1日・24時間という時間を、自分がどれだけ仕事に費やせるのかを考慮したうえで、ご自身に合った転職先を見つけてください。

畑さんも仰っていましたが、特にシード、アーリー期のスタートアップの情報は殆ど世に出ていないので、ベンチャーキャピタルに相談するのも有効だと思います。

―― 西中 本日のキャリアカデミーは以上となります。誠にありがとうございました。


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