【資料DL】学びを"行動変容"に繋げる『共同講座の普及・促進に向けた事例調査報告書(令和4年度)』
JISSUIでは、令和3年度から産学連携した高度専門人材の育成を目的として、企業と高等教育機関が連携して、『共同講座』の設置を行うことを支援する『共同講座創造支援事業費補助金』の事務局を運営しています。(※2024年度時点)
令和3〜4年度の事務局運営を通じて、採択・支援をした48社の事例調査(+本補助事業以外の事例に関するデスク調査・インタビュー調査)を行い、共同講座の立ち上げプロセスや実態・有効性等について報告書(DLリンク)にまとめました。
今回の報告書では、昨年度の講座内容を追跡し、実際に"行動変容"がどうあったかに着目している点が特徴です。
本記事では、報告書からポイントを抜粋して解説していきます。
「半数以上の受講者が、学んだことを業務で活用した」という調査結果となっており、「高度専門人材を育成したい」、「共同講座の設置検討をしたい」と考えている事業者、産学連携による人材育成政策を検討している政策担当者にご覧いただければ幸いです。
調査方法
今回の調査は、「受講後の事業成果に繋がる“行動変容”に繋がったか?」に着目しています。
具体的な調査内容は、下記となります。
令和3〜4年度に『共同講座創造支援事業費補助金』採択された48社の事例調査
本補助事業以外の事例に関するデスク調査・インタビュー調査
類似する『共同研究』の枠組みを調査
また、調査データだけに留まらず、再現性のある理論まで整理して取りまとめています。
共同講座の成果
54.1%の受講者が学んだことを業務で活用した
54.1%の受講者が、学んだことを業務で活用しており、うち20.2%が既に良い結果が出たと回答をしています。
高等教育機関と共同で行うことによって、企業単一では行うのが難しい、長期間・体系的な内容かつ新しい視点を得られたという声が受講生からは挙がっています。
また、86.3%の講座担当者が、当初期待していた行動変容が見られたと回答しました。
講座担当者からは、基礎から応用までの幅広い学習内容にも関わらず、自社に合わせた講座内容であったことが利点として挙げられました。
研究テーマの新規開拓、自社の知名度向上にも
受講生自体の行動変容以外にも「研究テーマの新規開拓に繋がった(77.2%)」、「自社の知名度が上がった(72.7%)」といった効果も見られました。
また、受講者を通じた波及効果として非受講者のスキルアップへの取り組み姿勢にもポジティブな変化があったと講座担当者は感じているそうです。
学びを実践に移すための環境整備が重要になる
こうした学びの業務活用には、企業側の環境整備も重要ということも見えてきました。
実際、講座後に「異動・配置転換」、「活用機会の提供」がなされた場合、100%が業務に活用できています。
共同講座の普及・促進に向けて
報告書では、共同講座の普及・促進に向けて、4つのポイントを挙げています。
共同講座の利点
成果については前述しましたが、共同講座の利点を受講者、講座担当者はどう感じているのでしょうか。
受講者からは「専門的・最先端な知識に触れられる」、「学びに前向きに取り組める環境」が挙がりました。講座担当者からは「専門性の高さ」、「事業者にはない人的交流や高度な設備」が挙がりました。
いずれも高等教育機関が持つアカデミックな要素に注目しているのが分かります。
どのようにして、こうした利点に親和性の高い事業者と高等教育機関を繋げていくかが普及・啓発には重要だと考えられます。
共同講座の接点
2年間で48件の共同講座を採択・支援してきましたが、その開設には偶発的接点(個人的なつながりなど)が起点となったケースが多かったです。
その中、有効性と再現性の双方が比較的高い接点としては「共同研究からの発展」が挙げられます。
共同研究から共同講座に発展するケースでは、大元になる共同研究の発展・実用に人材育成の必要性が生じており、そのために人材育成に関する相談や意見交換等を双方で実施したことが共同講座の開設に繋がった例が見られます。
こうした示唆から、共同講座の広がりを後押しするために
企業の人材育成課題やニーズの相談、資金
高等教育機関の学術的知見、人材育成ノウハウ
を言語化し、ファシリテーションするラウンドテーブルの存在が有効ではないかと考えられます。
共同講座のプロセス
共同講座の設計・開発には、講座担当者によるステークホルダー調整が不可欠です。
採択事例では、初期段階でステークホルダーを強固に巻き込み、検討体制を強固にしていくことが肝要であり、そのためにも経営課題・成果を意識して講座づくりをして、経営層や業務現場等の支持を獲得していく必要があると考えられます。
共同講座のゴール設定を段階的に設計し、部門目標や全社目標といった成果(下図のレベル4)に繋げるための「重要な仕事上の行動(下図のレベル3)」に繋がる道筋を示して、受講生を“行動変化”まで到達させる必要があります。
こうした道筋が独りよがりとならないため、ステークホルダーと意見交換を行い、それぞれの立場・関心によって検討すべきポイントを抑えておくことが重要となります。
加えて、成果の言及の際にも取り上げたように職場環境も考慮に入れていく必要があります。
共同講座の普及・啓発のための政策的観点
共同講座に政策支援(本事業では補助金)を行うことで、それをきっかけとした「講座開設の後押し」、「ステークホルダーとの関係強化・拡大」、「講座内容の充実化・高度化」に繋がったと講座担当者の声が挙がりました。
今後、共同講座のような産学連携による人材育成を普及・啓発していくためには、「数を増やす」「質を上げる」「種類を増やす」という3つの視点で施策を行っていくことが有効だと考えられます。
目的・体制・成果などを体系的にまとめた5事例を掲載
本調査報告書では、目的・体制・成果などを体系的にまとめた5事例を掲載しています。
本記事では『DOWAホールディングス株式会社 × 東北大学』の共同講座をサンプルとして掲載していますので、ぜひ、調査報告書をDL(リンク)して、自身の所属する組織で共同講座を検討する上で参考になる事例を探してみてください。
▼掲載事例サンプル▼
調査報告書をDLする
本記事では抜粋して調査報告書の一部を紹介しましたが、共同講座を通じた高度専門人材の育成の立上プロセス、実態を読み解くことができる事例調査報告書の全体版(別紙1-2含む)は、下記の『共同講座|特設ページ』から無料DLできます。
また、共同講座の設置を検討している団体からの個別相談も受け付けております。お気軽にご連絡ください。
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